日経平均は日本を代表する株価指標として1950年から70年以上も親しまれています。長く使われ続ける中で問題になるのが「連続性」です。というのも企業の株式は分割や併合が行われますし、日経平均の採用銘柄も入れ替えが行われているからです。そうした影響を受けないよう工夫がなされています。
修正がなければ大混乱は必至
企業が成長すると、より多くの投資家に株を保有してもらうために株式の分割が行われます。分割により、市場に流通する株が増えます。
企業が合併すると、株式の併合が行われ、吸収合併される企業の株は存続する会社の株に交換されます。こうして、時間が経過すると、流通する株数が変わってしまうことは珍しいことではありません。
かつては株式には「額面」という考え方があり、50円や500円といった額面の水準のもとで株価が形成されていました。しかし、2001年に額面制度が廃止され、同じ株価であっても必ずしも同じ価値があるとは言えなくなりました。
こうした理由で、株式の分割や併合、日経平均の銘柄入れ替えの時に適切な修正を行わなければ、相場が動いていないのに、日経平均の価格が大きく変わってしまうのです。日経平均の連続性というのは、相場の変動以外のノイズを取り除くことでもあるのです。
もしそれができなければ、過去と現在の日経平均は全く別物になってしまい、比較できなくなります。
計算に必要なのは「みなし額面」と「除数」
日経平均は「構成銘柄の採用株価の合計」÷「除数」という式で計算されます。
実は分子の株価の合計は単純な足し算ではありません。みなし額面制度の廃止により株価の連続性が無くなってしまった銘柄があるのです。そうした銘柄については「みなし額面」という修正が加えられています。
分母は225ではなく、日経新聞社が発表する「除数」という特別な数値を使います。これを使うことで株式分割や併合による影響を取り除くことができます。現在の除数は28.373です。
ちなみに、日経平均の算出がスタートした時には225が使われていました。修正を加える必要がなかったからです。
文・高村阿木夫(現役銀行員のマネーライター)
編集・dメニューマネー編集部
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