いつかやってくる「退職」。退職日が一日違うだけで、不要な厚生年金保険料を余分に納めることになることはご存じでしょうか。必要な保険料は当然納めるべきですが、不要な支払いを避けたいもの。そうしたことの積み重ねが大きな金額になります。
「月末退職」が不利な理由
サラリーマンやOLなど、会社員はすべて厚生年金に加入しており、退職によってその資格を失います。
実はその資格を失うのは「退職日の翌日」という決まりがあります。
たとえば、標準報酬月額50万円のサラリーマンの保険料は毎月9万1500円です。これを本人と雇用主(企業)とで折半します。もし3月31日に退職すると、4月は一日も働いていないのに4月分の保険料を納めなければならないのです。
厚生年金保険料は本人だけではなく雇用主も負担しています。つまり、月末退職が不利なのは、本人だけではなく雇用主にとっても同じなのです。このため、退職日を月末の1日前と社内規定で決めている会社があります。
入社時にも注意が必要な厚生年金
月末退職は1ヵ月分の保険料が得か損かという話ですが、入社時の厚生年金の問題はもっと深刻です。
試用期間を設けている会社がありますが、中には「試用期間中は厚生年金に加入しない」という会社もあります。
厚生年金に加入していない期間があると、将来受け取る年金額が少なくなるのは当然ですが、重要なのは保障です。
厚生年金に入らずに交通事故や病気になったら、障害厚生年金や遺族厚生年金を受け取れないかもしれないのです。
世の中の仕組みは「月割り計算」で設計されている
最近話題になったこととして、国会議員に対し在職1日で、1ヵ月分の文書交通費100万円が支払われたことがあります。
そのカラクリは月割りです。世の中の多くの仕組みは、月割りをベースに制度が設計されています。その制度を知ることで、不要な出費を減らし、節約につなげられます。
身の回りには月割りで計算されている制度がたくさんあります。ほんの少し調べてみると、案外お得に利用できたり、不要な出費を抑えられたりするかもしれません。
文・高村阿木夫(現役銀行員のマネーライター)
編集・dメニューマネー編集部
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