世界の金融市場はオミクロンショックで「リスクオフ」を強めている。日経平均株価は12月2日時点で11月25日終値から1,746円(5.9%)の下落、NYダウは12月1日時点で11月24日終値から1,782ドル(5.0%)の下げとなっている。
投資家が景気の先行きを懸念すると、ドル安(円高)、株安、債券高(金利低下)、原油安などになることが多い。21年のコロナショックによるリスクオフの株安局面は、長期でみると絶好の株の買い場だったが、今回はどうなのだろう?
オミクロンショックはコロナショック並みの下落にはなりづらい?
オミクロン株の感染力は強いものの、症状は軽いという症例が多く報告されている。不透明なことが多く、ファイザーやモデルナなど世界的に普及したワクチンが効くかどうかもまだ不明である。しかし、症状が軽いなら人々の動きを制限する必要性は限定的であり、オミクロン株に対するワクチンの誕生までにそれほどの日数を要するとも考えにくい。今回のオミクロンショックが、コロナショック並みの大きな下げになるとは考えにくいという見方が主流だ。
株式市場は調整のきっかけを待っていた?
オミクロンショックの背景には、株が「リスクオン」で上げすぎていたのでガス抜きの短期調整が欲しかったという見方もある。NYダウは11月8日に過去最高値の3万6,565ドルをつけ、20年末比で19%の上昇だった。日経平均株価は米国株に比べれば出遅れているものの、11月16日に2万9,960円と9月につけた3万795円以降の高値まで買われており、昨年末比9%の上昇だった。
経済活動をコロナショックから回復させるために、世界各国が過去最大級の金融緩和、資金供給、経済対策を行い、株高を演出。市場に緩和マネーが環流し、株だけでなく、原油などの資源や商品、食品などにも値上がりが目立つようになってきて、インフレ懸念が拡がり始めていた。その過熱感を一旦冷やすためにも、市場が自律調整を待っており、ガス抜き後また切り返すという見方だ。
金融緩和が終わるなら調整が長引く可能性も
株式市場がオミクロンショックで調整色を強めているのにもかかわらず、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、インフレ抑制が当面の方針と示し、金融緩和の段階的縮小(テーパリング)を進めるべきだとの見解を述べている。過度のインフレは経済回復を阻害するとの懸念からだ。もし、オミクロンで世界の人や荷物の動きが再制限され、同時にインフレとテーパリングが重なるならば株式市場の調整は長引く可能性がある。
市場のボラティリティ上昇時はポジション管理をしっかりと
日米ともに株式市場の動きが激しくなっている。株式のポジションを増やしすぎている場合は、慎重なスタンスでポジション調整をすべきタイミングだろう。資金管理を徹底していれば、相場が想定と逆に進んだ場合でも「退場」にはならないはずだ。天才投資家、ジョージ・ソロスの名言「まずは生き残れ、儲けるのはそれからだ」を今こそ意識したい。
文/編集・dメニューマネー編集部
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