結婚を機に家を買って親と別居する人は少なくないでしょう。しかし、親と同居したほうが有利になるのが相続税です。「相続税なんて関係ない」と高をくくっている人でも、実は都市部に実家がある人は特に注意が必要です。
こんなに得する小規模宅地の特例
2016(平成28)年、相続税の改正により相続税とは無縁だった人にまで相続税が課せられるようになりました。その典型的な例が都市部に住宅を持つ人です。
たとえ預貯金や有価証券がなくても、住まいがボロボロでも、自宅の敷地の評価だけで相続税が課されるケースは少なくありません。
たとえば、自宅の敷地評価額が6000万円、相続人は息子がひとり。そんなケースでも310万円の相続税が課されます。
「小規模宅地の特例」という制度を使うことで、この土地の評価は330平方メートルまで80%減額することができます。先の例であれば、相続税は非課税になるのです。
特例を使うには条件あり
「小規模宅地の特例」は非常に節税効果の高い制度ですが、親と相続人との関係に注意が必要です。
・配偶者
・同居親族
・相続が始まる前に3年以上借家生活だった親族
特例を受ける相続人が、これらのいずれかの条件にあてはまる必要があります。
つまり、自分の家を買って、親と別居している子供は要件から外れてしまい、特例受けることができません。親と同居していれば、相続税を支払う必要がなかったのに、相続税を支払わねばならないということが起こるのです。
家を買う前に財産評価だけはしておくべき
「親の家はボロ家で大した預貯金もないから相続税は関係ないだろう」──。
そう思っている人ほど実は危険です。相続人が1人なら、相続財産が3600万円を超えれば相続税がかかります。
相続財産の大半が不動産で、現金が少ないケースでは、相続税を納付するための資金が確保できないという不幸も起こります。家を買って別居する前に実家の財産評価だけはしておくべきです。
文・高村阿木夫(現役銀行員のマネーライター)
編集・dメニューマネー編集部
(2021年12月12日公開記事)
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