国民年金の保険料を支払っていない人は全体で2割ほどですが、年代別にみると、25~29歳の世代は4割近くが支払っていません。年金保険料を滞納し続けると、老後の年金はもちろん、障害年金、遺族年金も受け取れません。最近では日本年金機構が強制徴収に力を入れており、口座や自動車などが差し押さえられるケースもあります。払いたくても払えない、という人はどうしたらいいのでしょうか。
差し押さえ件数が急増している
保険料を支払わない人が多いことから、近年は、銀行口座を凍結される、自宅や自動車などを差し押さえられる「強制徴収措置」の件数が増えています。
実際に、2015年度には7,310件だった差し押さえ件数が、2年後の2017年度は1万4,344件と約2倍に増えています。
日本年金機構の2021年度計画にも「強制徴収の着実な実施」が明記されていることから、年金保険料の強制徴収を強化する方針は、今後も続くと見られています。なお年金や生活保護費、家電や家具など生活必需品は差し押さえの対象外のようです。
どうしても年金が払えないなら「免除」「猶予」してもらう
しかし、収入が減ったことなどが原因で払えないという人もいるでしょう。そこで考えたいのは、保険料の「免除・納付猶予制度」の利用です。申請が認められれば「未払い」にならないため、もちろん強制徴収はされません。
近くの年金事務所に相談に行けば、本人・世帯主・配偶者の前年の所得に応じて「全額」「4分の3」「半額」「4分の1」の4段階で、年金保険料を免除できたり、支払いを猶予できたりする可能性があります。
老齢年金を受け取るには、保険料の納付期間が10年以上であることが条件ですが、免除・猶予制度を利用すれば、免除を受けている期間も10年の必要年数に算入できます。
払えなかった時期の保険料は後払いできる
免除・猶予制度を利用しても、後から納付(追納)ができます。10年までさかのぼって納付できて、追納した月数分は「保険料を納めた月」として老齢年金に反映されます。
未払い期間が直近の2年程度であれば、過去2年分を支払えます。年金が未納とされるのは、納付期限から2年が過ぎたケースです。2年以内の年金保険料を支払えば、当然、将来の老齢年金に加算されます。
未納期間が長くて「今さら60歳まで年金を払っても、受給資格期間の10年に満たない」人なら、任意加入制度を利用して、60歳以降も年金保険料を支払う方法があります。たとえば「7年しか払っていなくて10年には、3年足りない」なら、63歳まで支払えば、7年分の支払いが無駄になりません。
年金保険料の支払いは「国民の義務」
そもそも年金保険料の支払いは、国民年金法で定められた義務。そのため、未納を続けると強制徴収も執行されます。
そうならないよう、支払いが厳しいときは、免除・猶予制度を利用して、年金をもらえるようにしておきましょう。
文/編集・dメニューマネー編集部
(2021年12月21日公開記事)
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