焼き鳥チェーン店の鳥貴族 <3193> の業績は、新型コロナウイルスが拡大した20年2月〜4月期に最終利益が赤字転落、その後も5四半期連続で赤字を記録した。足元では21年5月〜7月期以降2期連続で黒字に回復し、底打ちしたようにみえるが株価はまだ低迷している。なぜ黒字が株価に反応しないのだろうか?
投資先としても人気があった鳥貴族
鳥貴族は大倉忠司氏が1985年に大阪で開店した焼き鳥店が1号店だ。ちなみに大倉社長はジャニーズ事務所所属、関ジャニ∞の大倉忠義さんの父親である。
焼き鳥もドリンクも全商品が280円(現在は298円)という均一低価格が人気化して急拡大、21年7月末時点で615店舗となっている。14年にはJASDAQに新規上場、15年には東証2部、16年には東証1部上場と業績拡大とともに株式市場を駆け上がった。
14年のIPO時の初値は1,029円。2017年には3,965円まで3.9倍にまで上昇し、新興市場銘柄として人気があった。2021年12月20日終値は1,684円とピーク時の半分以下をつけている。
鳥貴族の売上はピーク時から一時85%減
居酒屋形態は外食の中でもコロナでもっともダメージを受けた業態である。鳥貴族も都市部を中心に時短や酒類提供の自粛が要請され、多くの店で臨時休業となった。8月27日時点では、直営店383店のうち255店が休業し、営業を続ける店舗でも酒類提供を中止し、時短営業を迫られた。
四半期ベースでみると、コロナ前のピーク時の売上は19年2月〜4月期の92億円。日本中で緊急事態宣言が広まった21年5月〜7月期には売上は13億円とピーク時の85%も減少した。
既存店売上では、コロナ後の20年3月から前年同月比でマイナスに転じ、13ヵ月連続で前年割れ。一旦は回復するも、21年11月まで7ヵ月連続で前年割れを更新している。行動制限が解除されはじめた11月でも7.3%減とプラス転換はしていない。
第1四半期の黒字は助成金の30億円が寄与
売上低迷が続いているなか、鳥貴族の四半期ベースの決算は21年5月〜7月期以降2期連続で黒字に回復している。これはコロナによる休業や時短営業の助成金を計上しているためだ。
前21年7月期では政府から44億円の助成金を得ている。12月10日に発表された直近21年8〜10月決算では売上は65%減の21億円、本業の利益である営業利益は17億円の赤字であるが、営業外収益として30億円を得ているため最終利益は黒字化している。株価が冴えないのもこういった事情を反映していると推察される。
居酒屋形態ではコロワイド <7616> も同様に助成金で直近2四半期黒字転換しているが、ワタミ <7522> は赤字継続中で厳しい状態が続く。一方、外食でも日本マクドナルドホールディングス <2702> やスシローを運営するFOOD & LIFE COMPANIES <3563> は、テイクアウトやデリバリー需要をうまくとりこみ、赤字を出さずに乗り切っている。
鳥貴族はコロナ禍の需要に合わせ21年8月からテイクアウトがメインのチキンバーガー専門店「トリキバーガー」をスタートし、24年7月期までに10〜20店出店する予定だ。鳥貴族の既存店の回復、トリキバーガーにヒットが待たれる。
文/編集・dメニューマネー編集部
(2021年12月21日公開記事)
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