FIREしても尽きない悩み──お金持ちになっても生活費に困るカラクリ

2022/02/12 07:00

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早期退職してFIREすると、生活スタイルだけでなく払う税金や社会保険料も変わります。退職後にかかる費用を勘違いしていると、資産運用で生活費を賄えず困ることも。FIREすると会社員時代とは何が変わるのでしょうか。 資産運用で得た利益全額を生活費に使えるわけではない FIREには、資産額の4%以内に生活費を抑えた場合、資産

早期退職してFIREすると、生活スタイルだけでなく払う税金や社会保険料も変わります。退職後にかかる費用を勘違いしていると、資産運用で生活費を賄えず困ることも。FIREすると会社員時代とは何が変わるのでしょうか。

資産運用で得た利益全額を生活費に使えるわけではない

FIREには、資産額の4%以内に生活費を抑えた場合、資産を減らさずに不労所得で生活できる4%ルールという考え方がありますが、退職後の生活費を年400万円と想定し、資産1億円を年4%で運用しても生活費が足りるわけではありません。仮に株式投資で年400万円の利益を出しても、所得税と住民税が約20%、およそ80万円かかり、手元に残る額は320万円ほどにしかならないからです。

FIREして資産運用で生活するのであれば税金も考慮する必要があります。税引き後の金額で生活費が足りるかどうかを考えなければいけません。

退職後は給与所得控除が使えず税金が増えることがある

FIRE前に年収400万円の会社員が、FIREして資産運用で年間400万円の利益を得て生活すると想定した際、年収は同じでも税金は一般的に退職後のほうが重くなります。会社員は税率を掛ける前の額から給与所得控除額を引けますが、会社員でなくなると引けなくなるからです。

例えば給与収入が400万円だと引ける給与所得控除額は124万円で、FIRE後は引けずに124万円高くなります。所得税率10%、住民税率10%であれば、会社員時代より税金が年間で約25万円(124万円×20%)増える計算です。

健康保険料や年金保険料が全額自己負担になる

会社員の場合、健康保険料や厚生年金保険料が給与から天引きされる際、本人が負担するのは半額です。残り半分は会社が負担しています。しかし会社員でなくなると全額を自分で負担しなければなりません。

また退職すると健康保険や年金の制度が変わってFIRE前より保険料が高くなることがあります。早期退職すると厚生年金保険料の納付期間が短くなり、老後の年金が減ってしまいます。その点にも注意が必要です。

多くの人にとって憧れのFIRE、生活スタイル以外にも様々な点が退職前とは変わります。もしも自分が早期退職したら生活がどう変わるか、想像してみると面白いかもしれません。

文・大垣秀介(マネーライター)
編集・dメニューマネー編集部

(2021年12月22日公開記事)

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