経済ニュースは「21マス」と「4人のプレイヤー」で読み解け【第18回】

2022/02/13 18:30

https://money.smt.docomo.ne.jp/column-detail/image/OVYBPV9nS4Wen9XooQNdpQ.jpg
2021年12月13日週(13日〜17日)は、日米欧の3大中央銀行の理事会がほぼ同時期に行われた「中央銀行ウィーク」でした。そのため、各種経済メディアにおいても、中央銀行の動向が紙面を賑わせました。詳細の日程は以下の通りです。 ・米国(FOMC) 12月14日〜15日 ・日本(日銀金融政策決定会合) 12月16日〜17

2021年12月13日週(13日〜17日)は、日米欧の3大中央銀行の理事会がほぼ同時期に行われた「中央銀行ウィーク」でした。そのため、各種経済メディアにおいても、中央銀行の動向が紙面を賑わせました。詳細の日程は以下の通りです。

・米国(FOMC) 12月14日〜15日
・日本(日銀金融政策決定会合) 12月16日〜17日
・欧州(ECB理事会) 12月16日

今回は、この3大中央銀行の動きについて紹介していきます。

これであなたも金融通 経済ニュースの読み方入門 第18回

この連載を通じて「金融市場」と呼ばれるものの正体は、21マスのうえで、4人のプレイヤー(中央銀行、金融機関、機関投資家、個人投資家)によって行われるマネーの動きそのものと説明しています。21マスは以下の通りです。

米国欧州日本中国新興国
為替1591317
債券36101418
株式37111519
不動産48121620
商品21

重要な中央銀行トップ3の日米欧

この連載で何度も申し上げているように、中央銀行は4人のプレイヤー(中央銀行、金融機関、機関投資家、個人投資家)のなかで特別な能力を持つプレイヤーです。なぜ特別かというと、21マスのうえを行き来する「お金の総量」をコントロールできるためです。

21マスのうえを行き来する「お金の総量」は、常に一定であるわけではありません。中央銀行が意図的に少なくする時もあれば、意図的に多くする時もあります。基本的には、景気が過熱して、少し冷やしたい時は総量を減らします。反対に、景気が低迷しており、何とか浮上させたい時は総量を増やします。そして、その「お金の総量」をどのようにコントロールするか決めるのが、中央銀行の理事会なのです。

中央銀行は基本的に各国に存在しますが、金融市場で最も注目を集めているのが米国のFRBです。極論すれば、FRBの動向さえつかんでおけば、金融市場の大体の状況は把握することができます。

FRBの次に重要視されているのが、日本の日銀と欧州(EU)のECBです。2021年12月13日週は、重要な中央銀行トップ3が相次いで理事会を開いたため、金融市場にとっては非常に重要な週だったというわけです。

強力な金融緩和はまだまだ続けるが、少しずつ緩和終了のことも考えていく

2021年12月現在では、21マス上における「お金の総量」は、人類史上最高レベルの量に膨れ上がっています。日米欧の3大中央銀行をはじめとして、世界中の中央銀行が金融緩和を行い、21マスへ大量のマネーを供給しているためです。

それでは、日米欧の3大中央銀行は、それぞれの理事会でどのような判断を下したのでしょうか。3行の動きを簡潔に表現すれば、「強力な金融緩和はまだまだ続けるが、少しずつ緩和終了のことも考えていく」といったところでしょう。FRBはFOMCにて、テーパリング(詳細は本連載の第5話をご覧ください)を加速することを決めました。日銀とECBは米国ほど緩和終了が見えていませんが、ともに、新型コロナウイルス禍に対応した資金繰り支援策の縮小を決めています。

FRBは、2022年春頃にはテーパリングを完全に終了させ、2022年中に何回か利上げをしていくことが予想されます。ある程度利上げがしたら、次に行うのはバランシート縮小です。バランシート縮小をこの連載の表現に置き換えたら、「21マス上における『お金の総量』を減らすこと」に他なりません。

そのとき、金融市場がクラッシュ(急落)するかは分かりませんが、金融市場にとってポジティブなことか、ネガティブなことかと聞かれたら、まちがいなく「ネガティブなこと」と言えるでしょう。2022年もぜひ中央銀行(特にFRB)の動向のニュースは追いかけるようにしてください。

「21マス」と「4人のプレイヤー」を意識して、経済ニュースを読み解いていこう

本稿にも関係してきますので、記事の最後に、この連載を通して私がお伝えしたかったことを改めて箇条書きで記載します。

・金融市場を見る時は「21マス」と「4人のプレイヤー」に注目
・金融市場は、記事冒頭の21マスで構成されている
・1マスの大きさは均一ではない(マネーはマスを自由に移動する)
・21マスのうえで動く「お金の総量」は一定ではない
・「4人のプレイヤー」は中央銀行、金融機関、機関投資家、個人投資家
・中央銀行は、21マス上の「お金の総量」をコントロールできる特別な存在
・その中央銀行のなかでもFRBは別格の存在
・金融市場の中心地は米国。すべては米国を起点に考える

日経新聞やブルームバーグといった経済メディアは、確かな知識と取材に裏打ちされた信頼できる情報源ですが、「読者がある程度の金融経済知識を有している前提」で書かれてしまっています。しかし、上記箇条書きのことを頭のなかに思い浮かべて、経済ニュースを見れば、その理解度は飛躍的に上がるはずです。

文・菅野陽平(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部

金融市場は「4人のプレイヤー」が「21マス」の中で動くゲームと考えよう

【関連記事】
「年金」いくらもらえる?「月20万円」で足りる?
初心者向け!ネット証券オススメランキング(外部サイト)
最も稼げる「国家資格」は?医師でも勝てない仕事
株主優待をタダ取りする裏ワザとは?(外部サイト)
確定申告しないと税務署にバレる?よくある5つのケース

(2021年12月30日公開記事)