残業代が適切か、通常の給料に法定の割増率をかけた額になっているか、計算する人は多くないかもしれません。しっかりと確認していない残業代、本当に適切なのでしょうか?未払いがあって請求する場合は、請求権が時効で消滅する前に対応が必要です。
1日8時間を超す労働は賃金が25%増しになる
残業をした場合、企業が払う賃金の割増率が法律で決まっています。労働時間が1日8時間を超えた場合は25%以上、1ヵ月60時間を超えた場合は50%以上です。
例えば9時~21時まで、休憩1時間を除く11時間働くと、8時間を超す3時間分は少なくとも1.25倍の賃金が払われます。
仮に月給から通勤手当などを除いた額が21万円、就業規則で定める労働時間が月140時間(1日7時間×20日)なら、時給換算額は1,500円(21万円÷140時間)です。時間外労働にあたる3時間に対して、企業は25%増しの1,875円/時を払わなければいけません。
もしも月に20日間働いて毎日3時間、1ヵ月で60時間の残業をした場合、残業代は11万2,500円(60時間×1,875円)です。割増されずに通常の賃金が払われていた場合は375円/時が未払いのため、60時間だと月2万2,500円、1年だと27万円を請求できます。
未払い分の請求可能期間が2年から3年に延長
以前は未払い賃金を請求できる期間が2年でしたが、2020年4月1日以降に支給日を迎える給料の場合、3年に延長されました。
例えば2020年4月末の支払い分であれば2023年4月末までの3年間請求できます。2020年1月末支払い分だと請求できるのは2022年1月末までの2年間です。
期限を超えると請求権が時効で消滅するため請求できません。過去の残業代で未払いがなかったか、適切な割増率で残業代が払われていたか、確認してみましょう。
昔の残業時間のデータが手元になくて調べられない場合は、2021年12月など直近の給与明細と勤務管理表を確認してみてください。残業時間と給与額を照らし合わせた結果、未払いの疑いがある場合には期限を迎える前に対応する必要があります。
文・大垣秀介(マネーライター)
編集・dメニューマネー編集部
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(2022年1月5日公開記事)