家計を見直したい

「貯金できない」20代シングルマザー、家計のどこを見直すべき?【第6回】

2022/03/06 19:00

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お金の悩みにFP(ファイナンシャルプランナー)が答える連載企画。今回は、貯金ができない20代シングルマザーからのご相談です。家計を見直し、子どものために教育資金を貯めたいとのこと。相談者の事例をもとに、シングル家庭の家計見直しポイントや貯金するため方法を解説します。 回答者・武藤貴子(ファイナンシャル・

お金の悩みにFP(ファイナンシャルプランナー)が答える連載企画。今回は、貯金ができない20代シングルマザーからのご相談です。家計を見直し、子どものために教育資金を貯めたいとのこと。相談者の事例をもとに、シングル家庭の家計見直しポイントや貯金するため方法を解説します。

回答者・武藤貴子(ファイナンシャル・プランナー)

マネーコラムの執筆、情報発信を中心に活動するFP(AFP)、金融ライター。会社員時代の経験から、副業や起業に関するアドバイスも行う。投資や在宅でできるネット副業に詳しい。著書に『いちばん稼ぎやすい簡単ブログ副業』(河出書房新社)がある。

相談「離婚、子どもを引き取ってシンママに。貯金したいが貯められない」

「夫と離婚し、子どもを引き取ってシングルマザーになった。貯金がしたいけれど、思うように貯められない。家計のどこを見直すべきなのか」

相談者プロフィール

27歳 女性 正社員 年収240万円(児童手当、児童扶養手当含む) 長女 5歳

半年前に離婚し、賃貸マンションで長女と2人暮らし。現在の貯金は約30万円。給与以外の収入は、児童手当と児童扶養手当。元夫から養育費の支払いはなく、両親には頼れない状態。今の生活にようやく慣れつつあるため、お金のことをちゃんとしたい。

1ヵ月の家計簿
収入 金額
手取り月収 13万8000円
児童手当 1万円
児童扶養手当 約2万9000円
収入合計 17万7000円
支出 金額
住居費 7万円
食費 5万円
通信費(スマホ) 7000円
水道光熱費 1万7000円
子ども費 6000円
小遣い 1万円
その他(日用品・被服・美容・レジャーなど) 2万円
支出合計 18万円

武藤さんの4つのアドバイス

1 「先取り貯金」を実践し、残りのお金で生活する習慣をつけよう
2 固定費を全体的に見直そう
3 変動費は予算を設定しやりくり しよう
4 手当や助成など国、自治体の制度を改めてチェックしよう

アドバイス1 先に貯金し、残りで生活する習慣をつけよう

毎月確実に貯金するには、給料が振り込まれたら、先に貯金分を他の口座に移動することです。そして、残りのお金をやりくりして生活する。はじめは大変ですが、これが習慣化すれば、必ず貯金することができます。

この「先取り貯金」のポイントは、貯金するお金を自動で他口座に移す仕組みを作ることです。たとえば、銀行の「自動積立定期預金」を使えば、自分で決めた金額が毎月勝手に口座へ積み立てられていきます。最近では取り扱う企業が減りましたが、勤め先に「財形貯蓄制度」があるならそちらを活用してもいいでしょう。

相談者の場合、児童手当が毎月1万円支給されています(振込は4ヵ月に1度)。まずは、この分だけでも貯金に回すなど、負担にならない金額から始めてみましょう。

アドバイス2 固定費は全体的に見直そう

通信費、住居費は抑えられそう

毎月決まって出ていく固定費を抑えると、支出が減ります。

たとえば、相談者の毎月の通信費は7,000円。飛び抜けて高いわけではありませんが、スマホ料金の格安プランを利用すれば、月3,000円程度に抑えられます。

一般に「住居費は手取り月収の3分の1以下が目安」と言われています。現在の7万円からできれば6万円、それが難しくても6万5,000円までには抑えたいところです。

しかし、引っ越しにはまとまった金額が必要となるため、いくら住居費節約のためといっても、すぐに引っ越しするのは現実的ではありません。

ただし、母子家庭である相談者は、「住宅手当」が利用できる可能性があります。これは、自治体独自の制度で、20歳未満の子どもを養育する母子家庭(または父子家庭)に、毎月定額が支給されるというものです。相談者の住む自治体では、5,000円が助成されます(受け取るには申請が必要)。住宅手当5,000円が支給されれば、住居費を下げたのと同じ効果を得ることができます。

子どもが独立するまで生命保険に加入

節約できる固定費がある一方、新たに追加が必要なものも。それは、「生命保険」です。

子どもを養う立場でありながら死亡保障を確保しておらず、相談者に万が一のことがあった場合、子どもの将来の生活費や教育費が不足する恐れがあります。

そこで、保険料が安く抑えられるネット生保などを利用し、子どもが独立するまでの間を保険期間とする定期保険に加入しておくといいでしょう。

アドバイス3 変動費には予算を設定し、その中でやりくりしよう

相談者の家計でもう一つ気になるのは、「変動費に予算を設定していない」という点。「何にいくら使っていい」というルールがないため、お金があるだけ使ってしまう状態です。

変動費は、費目ごとに「月○○円使っていい」という予算を設けましょう。そうすれば、赤字になって貯金を切り崩すこともありませんし、上手にお金を使うセンスが磨かれていきます。

たとえば、現状では小遣いのほかに自身の被服費や美容費がかかっていますが、小遣いを少し増やしたうえで、「小遣いの中で全てやりくりする」と決めるのもいいでしょう。はじめは大変ですが、やっていくうちに家計をコントロールしている感覚も生まれます。

アドバイス4 母子(父子)家庭が利用できる手当や助成を確認しよう

母子(父子)家庭では、基本的には一人の収入で子どもを育てていかなければなりません。しかし、特に子どもが小さい場合、思うように働けず充分な収入が得られない家庭も多くあります。

そこで、経済的な負担を軽減するため、国や自治体では、母子(父子)家庭を支援する様々な助成、手当が用意されています。たとえば、以下のような制度があります。

・児童扶養手当

母子家庭および父子家庭に支給される手当で、対象は0歳~18歳に到達して最初の3月31日までの間の年齢の子どもです。支給額は、所得や扶養人数によって3区分に分かれており、「全額支給」「一部支給」「不支給」です。たとえば、全額支給で子どもが一人の場合、支給額は月額4万3,160円です。

・住宅手当

「アドバイス2」で触れた住宅手当は、母子家庭および父子家庭に支給されます。対象は、家族で居住するための家を借りていて、月額1万円を超える家賃を支払っている人です。

住宅手当は市区町村独自の制度であり、実施しているかどうか、支給条件や支給額などは自治体によって異なります。

・医療費助成制度

対象は、母子家庭、父子家庭で、0~18歳に到達して最初の3月31日までの間の年齢の子どもです。世帯の保護者や子どもが、病院や診療所で診察を受けた際の健康保険自己負担分の一部を、居住する市区町村が助成する制度です。ただし、こちらも内容は自治体によって異なります。所得制限もあります。

その他、児童手当、生活保護、こども医療費助成制度、特別児童扶養手当、障害児福祉手当などの助成、手当もあります。これらについては、母子家庭、もしくは父子家庭でなくても、条件に当てはまれば受け取れます。

貯金の基本は母子(父子)家庭も同じ

母子(父子)家庭は、経済的な壁に直面する機会が多くなりがちですが、「先に貯めて残りで生活する」という貯金の基本は変わりません。

また、大変に思えるやりくりも、工夫を積み重ねると、家計に少しずつ余裕が出てくるはずです。また、母子(父子)家庭が利用できる制度はよく調べ、使えるものは徹底的に活用していきましょう。

文・武藤貴子(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部

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(2022年1月6日公開記事)

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