厚生年金の受取額には大きな差があります。平均は月14万円ですが、中には月25万円以上受け取る人も。厚生年金の受取額に差が生まれる理由と、受取額を増やす方法を見ていきましょう。
月25万円以上年金を受け取っている人は1.9%
厚生年金(国民年金部分を含む)の年金月額の分布は次の通りです。
年金月額 | 全体 | 男性 | 女性 |
5万円未満 | 2.9% | 1.4% | 5.9% |
5~10万円 | 20.8% | 9.2% | 44.0% |
10~15万円 | 30.0% | 24.5% | 41.0% |
15~20万円 | 29.9% | 41.0% | 7.8% |
20~25万円 | 14.5% | 21.1% | 1.2% |
25~30万円 | 1.8% | 2.7% | 0.1% |
30万円以上 | 0.1% | 0.2% | 0.0% |
月25万円以上年金を受け取っている人は、わずか1.9%で50人に1人の割合です。月20万以上受け取っている人も16.4%で、6人に1人にすぎません。
厚生年金の受取額を増やす3つの方法
厚生年金の受取額は、主に年収と加入月数で決まります。受取額を増やす3つの方法を見ていきましょう。
年収を上げる
昇給すると、給与から天引きされる厚生年金保険料が増えます。しかしその分、将来受け取れる厚生年金の額も増えます。年金を増やしたいのなら、年収を上げるのが近道といえるでしょう。
ただし、注意点があります。
厚生年金保険料や厚生年金の受取額は、平均標準報酬額を元に決まります。平均標準報酬額とは、働いていた全期間を通じての平均月収(賞与を含む)です。平均標準報酬額は、月収63万5,000円、賞与150万円が上限です。
すでに上限に達している人は、年収を上げても年金額には反映されない可能性が高いといえます。
※賞与が含まれるのは平成15年4月以後の被保険者期間から。それ以前は平均標準報酬月額と呼称。
60歳以降も働く
60歳以降も働いて厚生年金に加入し続けることで、加入月数が増え年金額も増加します。
ただし、60歳以降は給与水準も下がることが多く、働いた時間の割には年金額が増えないと感じるケースもあります。例えば、月収20万円で5年間働いたとしても、年金の増加額は月5,700円ほどです。
繰り下げ受給をする
年金の受取は通常65歳からですが、受給を先延ばしにする「繰り下げ受給」によって、毎月の年金額を増やすことができます。受給を繰り下げた場合の増額率は次の通りです。
請求時の年齢 | 増額率 |
66歳~66歳11ヵ月 | 8.4%~16.1% |
67歳~67歳11ヵ月 | 16.8%~24.5% |
68歳~68歳11ヵ月 | 25.2%~32.9% |
69歳~69歳11ヵ月 | 33.6%~41.3% |
70歳~ | 42.00% |
70歳から受給すれば、42%も年金が増えます。ただし、受給を繰り下げるほど年金を受け取れる期間が短くなることに注意が必要です。
年金月25万円は狭き門だが不可能ではない
給与の標準報酬月額の上限は、2020年に改定され、上限額が60万5,000円から63万5,000円に上がりました。上限が引き上げられると、年収アップによって年金を増やしやすくなります。今後も、標準報酬月額の上限が上がる可能性は十分にあります。
年金月25万円は狭き門ですが、不可能ではありません。現役時代に年収アップに励むことが、年金を増やす一番の近道といえそうです。あわせて、働く期間を延長することや、繰り下げ受給も検討しましょう。
文・木崎涼(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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