業務スーパーの神戸物産、9期連続最高益のワケ

2022/03/06 23:00

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「業務スーパー」(通称:業スー)の快進撃が止まらない。運営企業の神戸物産 <3038> は9期連続で過去最高収益を更新中。株価は8年連続の上昇、その間なんと65倍になった。業スーの人気商品や食材を使った人気レシピでなく、企業の強さを「数字」で見てみよう。 業務スーパーの成長を支えるSNSやメディア 業務スー

「業務スーパー」(通称:業スー)の快進撃が止まらない。運営企業の神戸物産 <3038> は9期連続で過去最高収益を更新中。株価は8年連続の上昇、その間なんと65倍になった。業スーの人気商品や食材を使った人気レシピでなく、企業の強さを「数字」で見てみよう。

業務スーパーの成長を支えるSNSやメディア

業務スーパーは2001年に業務用を中心にスタートした食品スーパーであり、オリジナルのPB商品、輸入商品などを低価格で提供することで個人客にも支持されて急拡大している。出店数は21年10月末で950店となった。21年2月に宮崎県に出店したため全国47都道府県すべてをカバーすることになり、文字通りのナショナルブランドとなった。

低価格の食品類をたくさん提供していることから、週に何度も通うような「業スーマニア」が多く存在する。業スー商品を使った簡単レシピがSNSなどで数多く紹介されていることも認知度拡大に寄与しているのだ。たとえば日本テレビ系ヒルナンデスでは、業務田スー子さんがたびたび出演し簡単レシピを紹介、YouTubeの「スー子TV」でも様々なレシピ動画が公開されており、それを見て業務スーパーに押しかける視聴者が増えて好循環が生まれていると言えそうだ。

業スーの拡大で9期連続の増収益継続中

業務スーパーを運営するのは東証1部に上場する神戸物産だ。神戸物産が12月4日に発表した21年10月期決算は売上が6%増の3,620億円、本業での利益を示す営業利益が15%増の273億円と絶好調だった。14年10月期以来、9期連続で増収益を続けており、その間の売上は13年10月期の1,794億円から21年10月期には3,620億円と2倍、営業利益は同19億円から273億円と14倍に急成長した。スーパー業界でこの成長は驚異的だ。

好業績を背景に21年の神戸物産の株価上昇率は40%高となった。すごいのは会社の成長に合わせて株価が上昇し続けていることだ。株価は8年連続の上昇で、20年が70%高、19年は2.3倍、18年は50%高など、13年末の72円から21年9月につけた過去最高値の4,660円までの上昇で株価65倍だ。

業務スーパーの高収益の秘密はスーパー界のユニクロ

神戸物産の前期末の営業利益率は7.5%。営業利益率はその会社の収益力をはかるのに大事な指標で、たとえばスーパー最大手のイオン <8267> は1.8%、食品スーパー最大手ライフコーポレーション <8194> 3.6%などと比べても非常に高い収益力を誇っている。

これは神戸物産がSPA(製造小売業)という方式をスーパーに取り入れたからだ。SPAはユニクロを運営しているファーストリテイリング <9983> が日本で広めた。商品企画は自社で行いPB商品を海外や協力工場などで安いコストで生産し短期納期で売るという形態だ。

今までの小売業は仕入れ商品をメーカーから仕入れて売ることであったが、それに製造業の仕組みを取り入れることで収益性は高くなる。神戸物産は国内に食品加工工場を23拠点持ち、海外に360店を超える協力工場を持つ。業務スーパーは顧客のニーズをつかみ、自社で開発して収益率の高いユニークでオリジナルの安い商品が売れている。今後も業務スーパーの高成長が続くか注目したい。

文/編集・dメニューマネー編集部

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(2022年1月8日公開記事)