成長を続けてきたセブン-イレブンに鈍化の指標が出始めた──。急成長をしていたプライベートブランド(PB)『セブンプレミアム』の売上が初めて前年を下回ったのだ。セブンプレミアムの減速の理由とセブンの新たな挑戦を見ていこう。
成長を支えてきたセブンプレミアムがピークアウト?
セブンプレミアムの21年度上半期(3~8月)の売上は、初めて前年比でマイナスに転じ、通期でもマイナスが避けられない見通しだ。セブンプレミアムは、セブン&アイホールディングス <3382> のPBである。食品メーカーと共同で開発し、高品質、低価格なオリジナルブランドとして07年5月にスタートした。食品メーカーとの直取引で中間マージンがかからず、広告宣伝費を低く押さえられることもあり、セブンの扱うアイテムでも高収益で中核となる商品だ。
初年度の07年度は380アイテムで800億円の売上だったが、19年度には4,150アイテムで1兆4,500億円まで拡大した。ラインナップも、『セブンプレミアム ゴールド』『セブンプレミアム フレッシュ』『セブンプレミアム ライフスタイル』が加わり、4つになった。プライベートブランドとしては日本一の規模だ。
コンビニだけでなくヨーカ堂などのグループのスーパーでも売ってはいるが、セブンプレミアムの売上はセブンにおいては食品売上全体の25%を占める看板商品であり、セブンイレブンの成長を牽引してきた商品でもある。
セブンの売上はプラスで推移している中でのPB成長鈍化
2021年度上半期(3~8月)のセブン&アイグループの国内コンビニの営業収益(売上に相当)は4,458億円と前年同期比4.0%の増加。外食や小売りの重要指標である既存店売上(新規出店を含まない)は1.5%増。コロナ禍でもコンビニの売上自体が減速しているわけではない。
セブンプラスの伸び悩みは、ローソンの『ローソンセレクト』、ファミマの『ファミマル』など、同業との競争が激化したことが一因だろう。また消費者は利便性を追求し、1ヵ所ですべての買い物を済ませるワンストップショッピングの傾向が進んでいる。コンビニのPBは、同じエリアのスーパーやドラッグストアなどと競合して伸び悩んでいる可能性もありそうだ。
しかしセブン&アイ・ホールディングスでは、コロナ禍での消費者の変化を読み切れなかったことが原因と自ら分析している。コロナ禍では消費者が自宅で過ごす期間が長期化したため、定番以外にもちょっとした変化球の味を求めるなどのニーズの多様化にも対応できなかったとしている。
セブンの新たな挑戦
セブンプレミアムに関しては、コロナ禍のニューノーマルに対応すべく、まずは増えすぎたアイテム数を削減し魅力のある商品を開発し、アイテムを減らしても売上を増やすことを狙う。またスーパーとコンビニなどのグループ連携を強化し、共通インフラとなるセントラルキッチンで食品開発、加工などを行い、原料調達もグループで共同に進めてグループシナジーを効かせる考えだ。
コンビニという業態については、小さな地域を商圏にするドミナント戦略で再成長路線へ回帰する方針だ。同時にオンデマンド配送サービスの拡大でラストワンマイルへ挑戦していくことも掲げている。ニューノーマルにおける魅力的なセブンを楽しみにしたい。
文/編集・dメニューマネー編集部
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(2022年1月11日公開記事)