多様化する働き方の1つ「出向」と「派遣」。どちらも広く浸透している制度で、小説やドラマの題材になることも度々あります。出向を命じられた社員が頭を抱えるシーンが象徴するように、雇用形態の変化は当事者にとって重要な問題です。出向と派遣は立場が似ているイメージがあるかもしれませんが、実際は多くの点で異なります。

「出向」と「派遣」、どのように違うか分かりますか？

雇用契約を結ぶ相手が異なる「出向と派遣」

「出向（在籍型出向）」とは、出向元との雇用関係を継続させながら、出向先とも雇用関係が生じる勤務形態です。出向元との雇用関係が終了する「転籍型出向」に対して「在籍型出向」と呼ばれることもあります。

出向に関して定義する法律はありません。労働者に出向を命じることができるのは、出向の規定が就業規則に盛り込まれている場合です。規定がない場合は労働者の同意がないと命じられません。

労働者の労働保険や社会保険などについては、基本的に賃金を払う側が責任を持ちます。労働時間や休日などは、すべて出向先の就業規則に従うのが一般的です。

「派遣」とは、派遣元と雇用契約を結び、派遣先の指揮命令に従う勤務形態です。派遣先と労働者の間に雇用契約が無いことが、出向との大きな違いです。派遣労働者は加入要件を満たしていれば、社会保険や雇用保険に加入します。保険料の支払いは派遣元が責任を持って行いますが、実際は派遣先へ請求する費用に含まれています。

解答：「出向と派遣」の違いとは……

「出向」は出向元と出向先で二重の雇用関係が発生する制度で、「派遣」は派遣元と雇用関係があり、派遣先の指揮命令に従う制度です。2020年には労働者派遣法が改正されました。働き方改革に基づき労働者の待遇差を是正する法改正が進んでいます。

文/編集・dメニューマネー編集部

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（2022年1月12日公開記事）