大学進学時に利用する人も多い奨学金制度ですが、返済が滞り督促や訴訟に発展するケースも……。奨学金の返済にまつわる実態と、返済できないときの対処法を見ていきましょう。
奨学金の支払督促は8,000件超、訴訟は5,000件超
奨学金を返済できず、支払督促や訴訟に移行した件数は次の通りです。
返還者数 | 約426万人 |
支払督促申立 | 8,659件 |
異議申立(訴訟へ移行した件数) | 5,470件 |
返還者数のうち0.2%が支払督促を受け、0.13%が訴訟に発展しています。訴訟に関しては、分割返還による和解で解決しているケースが多いです。
奨学金がどうしても返せないとどうなる?
奨学金も「借金」であり、返済の義務があります。返済できなければ、最終的には自己破産することになります。
自己破産すると、本人の返済義務は免除されますが、保証人・連帯保証人が本人に代わって返済しなければなりません。場合によっては、保証人・連帯保証人も自己破産せざるを得なくなります。
また、自己破産する場合、生活必需品を除き車や家などの財産を処分しなければなりません。信用情報機関に自己破産したことが記録され、10年間はクレジットカードの作成や住宅ローンの借り入れに支障が出る可能性もあります。自己破産したことは官報に公告されるため、周囲に自己破産を知られるリスクも否めません。
日本学生支援機構によると、2016年度の自己破産の件数は2,009件、割合は0.05%です。日本全体の自己破産の割合0.06%と同程度とはいえ、実際に奨学金で自己破産する人が存在するのも事実です。
奨学金が返せない場合にできる3つの対処法
奨学金が返せない場合、3つの対処法があります。無断で延滞する前に、日本学生支援機構が用意する制度を活用しましょう。
減額
災害や傷病、その他経済的理由で返済が困難になったときは、返済額の減額を申請できます。減額分は、返還期間を延長して返済することになります。減額によって、無理なく返済を継続できる可能性が高まるでしょう。
猶予
災害や傷病、失業、経済的な困難などの事情が生じた場合、返還期限の猶予を申請することができます。延滞する前に速やかに申請手続きをしましょう。
免除
本人が死亡した場合や、精神または身体の障がいで労働能力がなくなった際、奨学金の返還が免除されることがあります。日本学生支援機構に相談のうえ、必要な手続きをしましょう。
文・木崎涼(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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