結婚・出産に備えたい

【FPに相談】妊娠を機に妻が退職。パート勤務予定だが、家計はどこを見直せばいいか?

2022/03/13 18:00

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お金の悩みにFP(ファイナンシャルプランナー)が答える連載企画。今回は、妊娠を機に妻が退職する予定の夫婦からご相談です。いずれはパート勤務をするものの、収入が減るので家計を見直したいとのこと。相談者の事例をもとに、共働きでなくなった場合のマネープランについて解説します。 回答者・武藤貴子(ファイナンシャ

お金の悩みにFP(ファイナンシャルプランナー)が答える連載企画。今回は、妊娠を機に妻が退職する予定の夫婦からご相談です。いずれはパート勤務をするものの、収入が減るので家計を見直したいとのこと。相談者の事例をもとに、共働きでなくなった場合のマネープランについて解説します。

回答者・武藤貴子(ファイナンシャル・プランナー)

マネーコラムの執筆、情報発信を中心に活動するFP(AFP)、金融ライター。会社員時代の経験から、副業や起業に関するアドバイスも行う。投資や在宅でできるネット副業に詳しい。著書に『いちばん稼ぎやすい簡単ブログ副業』(河出書房新社)がある。

相談 妻が妊娠中、子育てのため退職へ。マイホーム購入に向けて家計を見直したい

「現在、妻が第1子を妊娠中で、子育てに専念するため退職予定。いずれはパートに出るつもりだが、今後、収入が1人分になる。将来は第2子やマイホーム購入を希望していることもあり、今のうちに家計を見直しておきたい」

相談者プロフィール

夫 31歳 正社員 年収450万円(うちボーナス80万円)
妻 28歳 正社員 年収330万円(うちボーナス40万円)

夫と、妊娠中の妻の二人暮らし。貯金は約400万円。勤務先が遠方であること、子育てとの両立が難しいことから、出産を機に妻は退職予定。子どもは2人希望、将来はマイホームも購入したい。今のうちに家計を見直し、収入減でもやっていけるマネープランが知りたい。

1ヵ月の家計簿
収入 金額
夫の手取り月収 24万円
妻の手取り月収 19万円
収入合計 43万円
支出 金額
住居費 9万8000円
食費(外食、飲み会含む) 8万円
通信費(自宅Wi-Fi+スマホ2人) 1万9000円
水道光熱費 1万9000円
医療保険(夫) 45000円
小遣い(夫婦) 6万円
その他(日用品・被服・美容・レジャー等) 3万円
支出合計 31万500円

武藤さんの4つのアドバイス

1 共働き時代と同じ生活レベルでは赤字に。まずは固定費の見直しを
2 小遣いの範囲を決め、変動費をコントロールしよう
3 収入が減った仮定でシミュレーションしてみよう
4 赤字家計になる時期のために、今から備えておこう

アドバイス1 固定費から見直して生活費を圧縮しよう

「節約の鉄板」通信費と家賃を見直す

共働きの現在は、収入に対して支出が多過ぎることもなく、貯金もできていて大きな問題はない家計です。しかし、これが夫だけの収入となると、今と同じ生活レベルを続けることはできません。そこで、節約効果の大きい「固定費」から削減していきます。

抑えられる可能性があるのは、まず、通信費です。夫婦で格安スマホに乗り換えると、合計で月8,000円程度の節約に。2人とも通話の頻度が低く、夫は週2~3日の在宅勤務、妻も今後は家にいることが多くなります。外でスマホを使う機会が減るため、プランを変更しても不便さはないでしょう。

もう一つ見直したいのが、家賃です。夫だけの収入になると、手取り収入に対する住居費の割合が大きくなり過ぎ、家計への負担が重くなるためです。8万円程度が理想ですが、それが無理でも、今より1万円は下げたいところ。引っ越しで一時的にお金が出て行きますが、家賃が1万円下がれば年間12万円の削減です。

相談者夫婦は「マイホーム購入はまだ先」と考えており、これからあと数年は賃貸で暮らすとなると、早めに安い部屋に引っ越したほうが節約効果は大きくなります。

子どもが生まれたら死亡保障を備える

現在、生命保険は医療保険のみ加入していますが、子どもが生まれたら死亡保障は必須となります。そこで、今後子育て世帯となる相談者には、「収入保障保険」がおすすめです。これは、被保険者が一定期間内に死亡した場合、遺族が所定額の年金を受け取れる保険のこと。 掛け捨てのため、満期まで生きていれ保険金は受け取れず、解約返戻金もありません。

しかし、保険料は安く済みます。あるネット生保でシミュレーションすると、相談者(夫)の場合、「保険期間・保険料払込期間が60歳、毎月の受取額10万円」では、月々の保険料は約2,500円。新たな固定費とはなりますが、家計に負担をかけずに必要な保障を確保することができます。

アドバイス2 小遣いの範囲を決め、変動費をコントロールしよう

今後は使えるお金が少なくなり、子ども関連の支出が増えることを考えると、変動費の削減も必要です。ただし、急に食費を減らすなど無理な節約は禁物。それよりも、まずは使い方が曖昧になっている費目を見直すことが大切です。

たとえば、現在、夫婦で月3万円ずつの小遣いがありますが、「何を小遣いから出すか」というルールがなく、小遣いの額を超えて個人的な出費があるようです。たとえば、夫なら友人との飲み会、アプリの課金など。これでは小遣いを超える出費は、収入の範囲内でいくらでもできてしまい、小遣いの意味がありません。

これからは支出を減らす必要があることから、小遣いの範囲を決めてきちんとコントロールすることが重要です。小遣い以外に個人的な出費を許すなら、費目ごとにしっかり予算を設けましょう。

アドバイス3  収入が減ったと仮定し、今のうちにシミュレーションしよう

収入が減ってから節約ややりくりを頑張ろうとしても、慣れている生活レベルを急に落とすというのは、想像以上に大変なこと。そこで、収入が減る前に、「夫だけの収入になった」と仮定して生活してみましょう。

たとえば、

・固定費の節約で月2万6,000円(通信費8,000円、家賃18,000円)削減
・保険料でプラス2,500円

この場合、支出の合計は28万7,000円となります。しかし、夫だけの収入になると、1か月で4万7,000円の赤字に。ここから変動費をコントロールするなどし、できるだけ生活費をコンパクトにしていく必要があります。

実際に、夫だけの収入で暮らしてみると、節約がかなり大変だと気付くでしょう。しかし、大事なのは収入が減る前にそれを実感すること。その結果、妻の退職を考え直すのも一つの手です。

予定通り退職を選べば、妻が働き始めるまでは今より厳しい家計に。それでも、実際にシミュレーションしてみれば、どのくらいのマイナスになるのかあらかじめ見当をつけることができます。

アドバイス4  赤字になる時期のために備えておく

夫だけの収入になる時期はボーナスから補てんする

夫だけの収入でシミュレーションしてみても、月収だけでは、全く赤字を出さずに生活するのは難しいかもしれません。ただし、妻が再度働き始めるまでは、ボーナスも含めて年収でマイナスにならなければオッケー。月収だけで無理にやりくりしようとすると、必要な支出まで削ってしまう恐れがあるからです。

あらかじめ「毎月○万円まではボーナスから補てんして良い」と決めておきましょう。この基準を決めるためにも、収入が減った仮定で生活してみることが大切なのです。さらに、今から節約生活をしておけば、浮いたお金は、実際に減収となった時に使うことができます。

ただし、生活費の補てんをいつまでもボーナスに頼るのは、もちろんNG。しっかりと時期を決めておくことが必須条件です。

毎月の収入やボーナスから一定額を「特別支出」として用意する

さらに、毎月の収入やボーナスから一定額を「特別支出」として用意しておきましょう。これは、冠婚葬祭費用や帰省の費用、家電が壊れた時の買い替え費用など、毎月の生活費以外の出費に備えるお金のことです。

イレギュラーな出費があると、生活費が足りなくなったり、貯金を切り崩してしまったりしがち。しかし、こうした出費に対応するお金をあらかじめ準備しておけば、生活費や貯金に手を付けてしまうことはありません。年間を通した支出の把握にもなります。

今のうちに減収した家計を体感しておこう

収入が減る時、家計を見直すのはもちろん大切ですが、実際にその収入を体感してみるのもかなり重要です。減収してからではなく、今のうちに、その時の家計になったつもりで見直しを考えていきましょう。

文・武藤貴子(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部

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