家計を見直したい

【FPに相談】40代共働き夫婦「別々の財布を今年から1つにしたい」

2022/03/19 16:00

https://money.smt.docomo.ne.jp/column-detail/image/xWfDYEeSRlKHJA1HKn8ayQ.jpg
お金の悩みにFP(ファイナンシャルプランナー)が答える連載企画。今回は、長年別々の財布で生活してきた40代共働き夫婦からのご相談です。今年から家計を1つにして、無駄使いをなくし貯金にも励みたいとのこと。相談者の事例をもとに、別々の財布を1つにし、家計改善するためのマネープランを解説します。 回答者・武藤

お金の悩みにFP(ファイナンシャルプランナー)が答える連載企画。今回は、長年別々の財布で生活してきた40代共働き夫婦からのご相談です。今年から家計を1つにして、無駄使いをなくし貯金にも励みたいとのこと。相談者の事例をもとに、別々の財布を1つにし、家計改善するためのマネープランを解説します。

回答者・武藤貴子(ファイナンシャル・プランナー)

マネーコラムの執筆、情報発信を中心に活動するFP(AFP)、金融ライター。会社員時代の経験から、副業や起業に関するアドバイスも行う。投資や在宅でできるネット副業に詳しい。著書に『いちばん稼ぎやすい簡単ブログ副業』(河出書房新社)がある。

相談 10年以上別々の財布を今年一つにしたい

「結婚して以来10年以上、夫婦別々の財布で過ごしてきた。特に大きな問題はなかったが、支出の多さや、老後資金の不足が気になるように。家族として生活費を共有し、貯金もした方がいいのではと思い、今年から家計を1つにしたい」

相談者プロフィール

夫 45歳 正社員 年収550万円(うちボーナス60万円)
妻 43歳 正社員 年収300万円(うちボーナス40万円)

都心から約30分の分譲マンションに夫婦2人暮らし。貯金は約200万円。結婚以来、別々の財布で生活し、互いの支出、貯金額などを把握していない。出費の多い月、夫は赤字家計に。さらに家族用の貯金がないなど、課題が多い。

1ヵ月の家計簿
収入 金額
夫の手取り月収 31万円
妻の手取り月収 17万円
収入合計 48万円
支出 金額
住居費(住宅ローン返済) 12万円
食費(外食含む) 9万円
通信費(自宅Wi-Fi+スマホ2人) 2万5000円
水道光熱費 2万円
医療保険(夫婦) 5000円
死亡保険(夫) 3万3000円
小遣い(夫婦) 8万円(夫3万円、妻5万円)
その他(日用品・被服・美容・レジャーなど) 3万5000円
支出合計 40万8000円

武藤さんのアドバイス

1 まずは夫婦で支出内容を共有しよう
2 お金の使い方、管理方法を変えて支出を抑えよう
3 保険料と通信費の見直しで固定費は約2万円節約しよう
4 家族用の貯金口座を作り、毎月一定額を貯めよう

アドバイス1 まずは夫婦で支出内容を共有してみよう

夫婦で別になっている財布を1つにするには、それぞれの支出を共有し、「何にいくらかかっているか」「どのような使い方をしているか」を一緒に把握することから始めましょう。財布を1つにするといっても、生活費口座や家族用のお金を、全部一緒にする必要はありません。家計簿アプリなどを使い、支出内容を2人で把握するだけで充分です。

相談者の家庭では、夫が住居費(住宅ローンの返済)と通信費(自宅Wi-Fi)、水道光熱費を負担しています。一方、妻が毎月負担する家族分の固定費はなく、食費や日用品は、それぞれが必要に応じて購入。食費、日用品の負担割合は、おおよそ「夫:妻=6:4」となっており、全体として夫の負担が重くなっている状況です。

さらに、夫のボーナス60万円は、ここ数年、ほぼ全て住宅ローンの繰り上げ返済に消えています。収入差があるとはいえ、夫の負担が異様に重く、出費の多い月は夫だけ赤字といういびつな家計が浮き彫りとなりました。

一方、妻は家計負担が少なく、かなり余裕があります。夫の支出は月29万500円、対して、妻の支出は月11万7,500円。妻の月収の余りとボーナスを旅行やレジャー、家電の買い替えなど高額な出費に充て、残りが一応貯金になっているという形です。

2人ともにお金の使い方に計画性があるとはいえず、切り崩しにより、貯金もさほど増えてはいない状況。これでは老後に不安を残す恐れが高く、今すぐ対応が必要でしょう。

アドバイス2 お金の使い方や管理方法を変え、支出を抑える

まず、夫の家計負担の重さが気になりますが、固定費の支出については、現状のまま夫の担当で構いません。そのうえで、食費や日用品などの変動費はお互いに決まった金額を出し合い、共通の財布で管理するようにしましょう。2人で買い物の計画を立てれば重複買いを防げますし、月の予算を設けることで支出を抑えられます。

さらに、妻のボーナスや月収の一部で「特別支出」を設けましょう。家具や家電の買い替え費用、冠婚葬祭費、旅行の費用、NHK受信料、年払いの保険料、税金の支払いなど、生活費以外にかかるお金は、ここにプールしておきます。これで、生活費に手を付けたり、貯金を切り崩したりすることはありません。

支出の内容はこれまでとあまり変わらないかもしれませんが、大切なのは、「年間予算をしっかり組み、特別支出を設ける」ということ。また、「残りを貯金すればいい」という考えは捨て、貯金は貯金で別途しっかり行っていく必要があります。

そして、個人的な支出の見直しも必要です。特に、妻の個人支出は月5万円、他にも被服費と美容代が1万5,000円あり、収入に対しかなり多め。夫の個人支出は3万円であるため、これに合わせるなど、夫婦で話し合い個人支出の金額を決めておきましょう。

アドバイス3 固定費は保険料、通信費の見直しで約2万円節約しよう

固定費も見直しましょう。夫の死亡保険の保険料、2人分のスマホ代が抑えられそうです。

まず、死亡保険は、結婚時に加入したものですが、これまで一度も見直しをしていません。扶養する子どもがおらず、妻も働いている割には保障が手厚くなっていたため、必要保障額等を見直せば、2万円程度まで保険料を下げることができるでしょう。

次に、夫婦のスマホ代ですが、ともに月1万円程度かかっています。格安スマホに変えれば月3,000円程度まで安くできますが、格安への乗り換えには抵抗がある様子。ただし、不要なオプションを解約し、プランを見直すだけでも7,000円程度まで抑えられるでしょう。2人合わせて月約6,000円も削減できます。

固定費を見直すだけで、月約2万円の節約に。早めに手続きを行いましょう。

アドバイス4 家族用の貯金口座を作り毎月貯めよう

共働き家庭は、夫婦で一緒に貯金をしないと、お金が貯まりにくいという傾向があります。お互いに「相手が貯めてくれているだろう」と高を括った結果、どちらも大して貯めていなかった…ということが起こり得るからです。そこで、家族用の貯金口座を作り、毎月一定額を貯めていきましょう。口座を家計簿アプリに登録すれば、夫婦で残高を確認することができ、励みにもなります。

相談者夫婦の家計は、今回の見直しで月5万円程度は節約できるはずです。その分を貯金にまわしましょう。また、住宅ローンの繰り上げ返済については、まだしばらく住宅ローン控除が受けられることも考え合わせ、いったんストップに。繰り上げ返済に充てていた夫のボーナスも、貯金します。いざという時の生活防衛資金として現状の2倍程度の貯えができたら、再度繰り上げを検討してもいいでしょう。

ただし、40代半ばという相談者夫婦の年齢を考えると、老後資金の準備も着々と行っていきたいもの。繰り上げ返済を再開しても、住宅ローンの完済ありきでなく、貯金とバランスの取れた返済計画を立てることが必要です。

財布を1つにするには、まずは情報共有から

別々の財布を1つにするなら、何はともあれ、お互いの支出の情報共有から始まります。「自分の収入や個人的な支出まで知られるのは気が引ける」という場合は、家族としての生活費のみ共有でもOKです。できる範囲でスタートし、夫婦で協力して家計改善を目指しましょう。

文・武藤貴子(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部

【関連記事】
「厚生年金」を月25万円もらうための3つの方法
初心者向け!ネット証券オススメランキング(外部サイト)
「電気・ガス・水道代を節約したい」人がやってはいけないこと
株主優待をタダ取りする裏ワザとは?(外部サイト)
ひろゆきが「宝くじを買うこと」を問題視した本当の理由

(2022年1月16日公開記事)

記事制作者