将来、年金がもらえるとしても、一時的に「今、お金があると助かるのに……」という場合もあるでしょう。そういう場合に役立つかもしれないのが、国民年金や厚生年金を担保にお金を借りられる「年金担保貸付制度」です。
ただこの制度、2021年度で新規の融資は終わります。借り入れられるのは2022年3月末までです。
資金を使う目的には条件がある
融資を受けられるのは、医療や介護、住宅改修、教育、冠婚葬祭、生活必需品の購入などでお金が必要な場合です。入院費などで困ったときでも、貸付制度を使えば費用の支払いに充てられます。また、事業の運転資金や債務の返済に充てる場合も借り入れできます。
しかし、何にでも使えるわけではありません。使えるのは主に、一時的にまとまったお金が必要になった場合や緊急性が高い場合です。
たとえば、滞納家賃の支払いが目的なら借りられます。家電が壊れて買い直さないと生活に困るときも融資の対象です。
しかし、何となく生活資金を増やしたいという理由では借りられませんし、旅行費用に充てる目的でも借りられません。
借り入れできる額には上限がある
融資額は10~200万円の範囲内で、生活必需品の購入が目的の場合は10~80万円です。年金額の80%が上限で、おおむね2年6ヵ月以内に返済する必要があります。
貸付利率は2.8%で、年金の一部を返済に充てる仕組みです。返済が終わるまでは年金のうち返済額分が受け取れません。借り入れによって一時的にまとまった資金を確保できますが、年金が減って返済期間中の生活が苦しくなる場合があります。
新規に申し込む場合は3月末までに手続きを行う
この制度は2021年度末、つまり2022年3月末で終わります。
これから申し込む人は、3月までに書類を揃えて申し込む必要があります。年金を受け取っている金融機関の窓口で手続きをする際、年金証書や印鑑証明書、資金使途を確認できる資料などが必要です。
年金受取口座の変更手続きも必要になる場合があるので、興味がある人は早めに金融機関に相談するとよいでしょう。
なお現在、既にこの制度でお金を借りている人の返済期限が3月末に繰り上がるわけではありません。返済期間や返済方法は従来と同じです。
生活に困っても他にも支援する制度はある
年金担保貸付制度は終わりますが、生活福祉資金貸付制度などお金を借りられる制度が他にもあります。利用できる制度がないか確認してみましょう。
生活費に困った場合でも、地域の自立相談支援機関や社会福祉協議会に相談すれば解決できる場合があります。
文・大垣秀介(マネーライター)
編集・dメニューマネー編集部
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