2021年に全国で休業・廃業、解散を行った企業は5万4709件で、前年から2.5%減ったものの、経営余力を残して自主的に会社を休業や廃業、解散を行った「あきらめ休廃業」の割合が高まっていることが分かった。
帝国データバンクのまとめで判明したもので、ここには個人事業主も含まれる。帝国データバンクが調査・保有する企業データベースのほか、各種法人データベースを基に集計したもの。
調査でいう「休廃業・解散企業」とは、倒産(法的整理)によるものを除き、特段の手続きを取らずに企業活動が停止した状態の確認(休廃業)、もしくは商業登記などで解散(「みなし解散」を除く)を確認した企業の総称だという。
あきらめ休廃業とは
同社によると、2021年に休廃業・解散した企業のうち56.2%が当期純利益で黒字だった。これは前年の0.9 ポイント下回ったが、全調査期間で2020年に次いで 2番目に高い水準。
さらに、資産が負債を上回る状態で休廃業・解散となった企業も全体の62.0%と約6割を占め、過去最も高かったという。利益が黒字かつ資産超過の状態で休廃業・解散した企業は全体の 6.0%と1割強を占めたというから、「余裕のあるうちに辞めよう」と考えた経営者が多かったことがうかがえる。
休廃業した企業の代表者の平均年齢が初めて70歳を超えた
また、代表者の年齢をみると、休廃業・解散を行った企業の代表者年齢の平均は70.3歳で、初めて70歳を超えたという。
経営者のボリュームゾーンである50代、60代の割合は、いずれも前年から下がっていることから、同社は「事業承継がスムーズに進まず、支援から取り残された企業で代表者の高齢化が進み、休廃業・解散を余儀なくされている可能性がある」と指摘している。
都道府県別では最多いが東京都の1万2123件で、全国で唯一1万件を超えている。前年と比較して、休廃業・解散の発生件数が減少となった都道府県は34、増加は13に上った。
業種別では、前年と比べて減ったのは建設業(6903件)など5業種。特に小売業(3672件)は、件数・比率ともに全業種の中でも前年に比べ大きく減っている。
その一方で、旅館・ホテルや非営利団体(NPO)などを含むサービス業や、不動産業の2業種は前年から増えている。休廃業・解散率では、旅行産業で前年から急激な高まったという。
2022年の見通しについて帝国データバンクは、「余力のあるうちに会社を畳む『駆け込み廃業』が 2021 年以上に増加するシナリオが最も懸念される」と指摘している。
文/編集・dメニューマネー編集部
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