3000万円のフェラーリと600万円のベンツはどちらが安い?

2022/03/21 12:00

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資産としての「クルマ」自動車投資のススメ 第2回 多くの人はクルマのことを「贅沢な消費物」と捉えて、通常の資産運用(投資)とは切り離して考えがちです。しかし、クルマは資産の一部であり、お得に乗るためには、クルマを投資対象とみなす自動車投資(カーインベストメント)の視点が重要です。本連載では、クルマについて通常とは異なる

資産としての「クルマ」自動車投資のススメ 第2回

多くの人はクルマのことを「贅沢な消費物」と捉えて、通常の資産運用(投資)とは切り離して考えがちです。しかし、クルマは資産の一部であり、お得に乗るためには、クルマを投資対象とみなす自動車投資(カーインベストメント)の視点が重要です。本連載では、クルマについて通常とは異なる視点から考えていきたいと思います。

3000万円のフェラーリのほうが安い?

タイトルにもありますが、以下の2つであれば、どちらが安いでしょうか?

・3000万円のフェラーリ
・600万円のベンツ

当たり前ですが、3000万円のフェラーリのほうが高いです。しかし、以下のような条件が加わったらどうでしょうか?

・3年使った後、3000万円で買ったフェラーリは2700万円で売れた
・3年使った後、600万円で買ったベンツは200万円で売れた

仮定の話ですので、どちらも保有中のランニングコストは考慮しないとします。そうすると、フェラーリは実質的に3年間、3000万円−2700万円=300万円で乗れたことになります。一方、ベンツは実質的に3年間、600万円−200万円=400万円で乗れたことになります。フェラーリが300万円、ベンツが400万円ですので、こう考えると、「3000万円のフェラーリのほうが安い」と言えなくもありません。

リセールバリューを考える際は“割合”も確認しよう

ここで押さえておきたい言葉が「リセールバリュー」です。取得した財産を再び売却したときの価値のことです。クルマで言えば、新車もしくは中古車として購入したクルマを売却したときに、「どれくらいの値段で売れるか」にあたります。当然、リセールバリューが高いほうが資産価値は高いと言えます。

上記のフェラーリとベンツの例で考えてみましょう。3000万円で買ったフェラーリのリセールバリューは2700万円ですので、買値から10%しか下落していません。一方、600万円で買ったベンツのリセールバリューは200万円ですので、買値から3分の1になってしまっています。それぞれの「買値とリセールバリューの差」は100万円しかありませんが、下落率で言えば雲泥の差です。

このように、リセールバリューを考える際は、「買値とリセールバリューの差」という“絶対値”はもちろん、「買値からの下落率(上昇率)」といった“割合”も確認することが重要です。

高いもののほうが、結果的には費用が少なくて済む?

実は、クルマ以外の分野においても、「高いもののほうがリセールバリューは維持されやすいため、結果的には費用が少なくて済んだ」という事例は数多くあります。

資産運用関連で言えば、典型例は不動産(マンション)でしょう。マンション情報サイト「住まいサーフィン」の調べによると、新築価格とリセールバリューのプラスの差(2004年〜2019年の平均)が最も大きいのは港区です。なんと港区は、調査期間の19年間1度もマイナスになっていません。常に値上がりし続けているということです。

港区は高級住宅地を多く抱え、不動産価格が高いことで有名です。しかし結果的には、その高い買値を上回るリセールバリューを保ち続けている(むしろ上がり続けている)のです。「住まいサーフィン」を運営するスタイルアクト代表取締役の沖さんは「資産性を重視するなら、どんなに高くてもマンションは港区に買え」という刺激的なタイトルのコラムも発表しています。

リセールバリューをひとつの判断材料に

「高いもののほうがリセールバリューは維持されやすい」という法則はいつでもワークするわけではありませんが、基本的にどの分野でも当てはまります。高いものは供給量が限られており、その価値に魅力を感じたお金持ちがあまり値段を気にせず購入することが多いためでしょう。

もちろん、「フェラーリも港区マンションも買いたいけど、そもそも予算的に買えないのだ!」という人が多くいることは重々承知しています。本稿で述べたいことは、「高くて良いものを買いましょう」ということではなく、「お得にクルマに乗りたいのであれば、リセールバリューを意識して買いましょう」ということです。

フェラーリを買うことは難しくても、「A車にするかB車にするか」迷っているときに、リセールバリューを調べることはできるはずです。最終的には乗りたいクルマを買えば良いと思いますが、甲乙つけがたい状況であるならば、リセールバリューをひとつの判断材料にしてみてはいかがでしょうか。

文・菅野陽平(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部

資産としての「クルマ」自動車投資のススメ

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(2022年1月22日公開記事)