意外と知られていないことですが、実は退職金や年金にも税金がかかり、iDeCo(イデコ)は受け取り方によって税金に大きな差が出ます。老後の資金にまつわる税金の仕組みを見ていきましょう。
退職金にも税金がかかる
退職金は老後の生活の糧となる大切な存在なので、通常の給与と比べて税金が優遇されています。
退職金にかかる税金は次のように計算します。
(退職金-退職所得控除額)×1/2×税率
退職金が退職所得控除より少なければ、税金はかかりません。
退職所得控除の計算式は、次の通りです。
勤続年数 |
計算式 |
20年以下 |
40万円×勤続年数 |
20年超 |
800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
(出典:国税庁)
退職所得控除を超えた場合、計算式をもとに税金を計算します。所得税率は5%から45%まであり、所得が大きくなるほど高い税率が適用されます。住民税は10%程度です。
年金にも税金がかかる可能性がある
国民年金や厚生年金などの公的年金にも税金がかかります。ただし、公的年金も優遇されており、65歳以上で年金収入が年間110万円未満なら、税金はかかりません。
110万円を超えた場合、次の表をもとに雑所得として課税されます。収入から雑所得を計算し、税率をかけることで、税額を試算できます。
公的年金等の収入 |
公的年金等の雑所得 |
110万円超330万円未満 |
収入-110万円 |
330万円以上410万円未満 |
収入×0.75-27万5,000円 |
410万円以上770万円未満 |
収入×0.85-68万5,000円 |
770万円以上1,000万円未満 |
収入×0.95-145万5,000円 |
1,000万円以上 |
収入-195万5,000円 |
(出典:国税庁 65歳以上の場合)
iDeCoは受け取り方で税金が変わる
iDeCo(イデコ)は、自分で運用しながら年金を積み立てられる制度です。掛金が全額所得から控除され節税できるのがメリットですが、受け取り時にも税金がかかります。
受け取り方は「年金」「一時金」「年金+一時金」の3種類があり、受け取り方によって税金は大きく変わります。
年金(分割受け取り) 通常の年金と合算し雑所得として課税
一時金(一括受け取り) 退職金と合算し退職所得として課税
どの受け取り方がお得になるかは、人によって変わります。
会社員で退職金が退職所得控除より少ないなら、一時金としての受け取りを検討してください。また、退職金と一時金の時期をずらすことで、税金をさらに軽減できる可能性があります。
個人事業で退職金がない人も、退職所得控除をフル活用できるため、一時金がお得になる可能性があります。ただし、小規模企業共済など他にも退職所得扱いとなる制度があるため、注意しましょう。
退職金で退職所得控除を使い切ってしまうなら、年金としての受け取りを検討すべきです。ただし、老後も不動産収入など一定の所得がある場合、一時金が有利なケースもあります。
また、年金として受け取りながら運用を継続する、一時金として受け取り住宅ローンの繰り上げ返済をするといった選択肢もあります。税金だけでなく、市場動向や借り入れ状況も踏まえて決めましょう。
文・木崎涼(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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