親が子の保険料を払うと、所得税や住民税が安くなります。このため、学生が年金保険料を払えない場合、親が払えば節税になると言われますが、これは本当でしょうか。実は、「親が代わりに払う」よりも、「納付の特例を使って払わない」(学生納付特例)ほうが負担が軽いかもしれません。
保険料を親が代わりに払うと節税になるが負担は増える
親が子の保険料を払うと、どれくらい節税になるのでしょうか。
親の年収が300万円の場合、国民年金の保険料(年間約20万円)を払うと、1年で3万円ほど節税になる計算です。
子が自分で払う場合は、所得が少なくて所得税・住民税がもともとかからなければ、節税にはなりません。つまり親が払うほうが、負担が軽くなるように見えます。
しかし親の立場で考えると、保険料20万円分だけ負担が増え、節税額3万円を引いても17万円の負担増です。
家計に余裕がない場合は、学生納付特例を使って保険料を払わないほうが、親も子も負担が軽くなります。
特例を使えるのは所得額が次の金額以下の学生です。親の所得額は問われません。
学生納付特例の基準所得額
128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等
追納しなければ将来の年金が減る
ただし、特例を使って保険料を納めなかった場合、子が将来、もらうはずの年金額が減ります。国民年金は基本的に保険料を、20歳~60歳の40年間納めるものなので、払わない期間の分だけ年金が減ります。
たとえば20歳~23歳の3年間払わなければ、40分の3減るということです。本来の年金額が80万円なら年間6万円減ります。
追納時に利息がかかっても最大300円程度
老後の年金を減らさないようにするには、学生の間に納めなかった保険料を10年以内に追納しなければいけません。
なお3年以上経ってから追納すると利息がかかり、遅くなるほど利息が増えますが、本来の納付月額より数十円~数百円増えるだけです。
たとえば、2011年度の月額保険料1万5,020円を10年後の2021年度に追納すると1万5,350円です。利息が上乗せされても負担が極端に増えるわけではありません。
今払うのが難しければ、特例を使って後で納めることも検討しましょう。
文・大垣秀介(マネーライター)
編集・dメニューマネー編集部
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