国内コンビニ王者・セブンに陰り?「そごう・西武」を売却する理由

2022/04/09 09:00

https://money.smt.docomo.ne.jp/image/CWUqhg9YSYmWqr4j9qgaOA.jpg
セブン&アイ・ホールディングス <3382> が、傘下の「そごう・西武」を売却する方向で最終調整に入ったことが報じられた。売却額は2,000億円以上とされ、当日の同社株は一時8.8%高で2000年5月以来22年ぶりの高値を付けた。コンビニでは絶対王者のセブン&アイが事業再編に着手する理由とは──。 コン

セブン&アイ・ホールディングス <3382> が、傘下の「そごう・西武」を売却する方向で最終調整に入ったことが報じられた。売却額は2,000億円以上とされ、当日の同社株は一時8.8%高で2000年5月以来22年ぶりの高値を付けた。コンビニでは絶対王者のセブン&アイが事業再編に着手する理由とは──。

コンビニのセブンを核に成長する意思表明

セブン&アイは、国内コンビニ部門のセブンイレブンを中心に、海外コンビニ部門、ヨーカ堂などのスーパーストア部門、そごう・西武などの百貨店部門などをグループに持ち、総合小売業でイオン <8267> に次ぐ第2位の巨大グループだ。

小売業界はスケールメリットを求め、イオン、セブンの2トップが競うようにグループを巨大化してきた。セブン&アイがデパート部門の過半数の株式を投資ファンドや事業会社に売却することは、業界にとって象徴的な出来事である。今後は収益を重視しコンビニを核に成長していくという意思表明だろう。

赤字の百貨店部門の売却で企業価値が高まる公算

セブン&アイの22年2月期第3四半期(3〜11月)決算によると、国内コンビニ売上は6,619億円と全体の11%を占め、営業利益では1,772億円と全体の59%を稼ぐ中核部門だ。営業利益率は26.8%と高収益だ。

海外コンビニは、21年5月に買収した米コンビニの「スピードウェイ」の収益が加わったことで、売上は3兆5,207億円と売上の39%を占めるまで拡大した。ただ、営業利益は1,274億円、営業利益率は3.5%と低く、国内ほどの利益インパクトは大きくない。

一方、焦点の百貨店部門の売上は5,102億円と8%を占めるが、営業利益は102億円の赤字だ。百貨店部門を売却し、国内外のコンビニ事業に注力することで企業価値が高まりそうだ。

コンビニ王者セブンも不振? あしもとコロナ禍で国内消費動向に変化

セブンイレブンはコロナ禍で苦戦が続いている。3〜11月累積の既存店売上は0.7%増と小幅な伸びにとどまった。通期の予想を当初の1.8%増から1.1%増に引き下げられた。

同社は不振の原因として、コロナ禍で消費者の消費行動が変わったと分析している。買い物はECで済ませ、外出する場合は食品、生鮮品、日用品などの全てを1店舗で済ませるワンストップ・ショッピングへの傾向が強まったという。

対応策として商品の多様化に着手した。高収益の源泉となるプライベートブランド(セブンプレミアム)の見直し、オープンタイプの冷凍庫、野菜、酒類などの販売スペースの拡大などを進めると同時に、ワンストップの利便性を高めるため、100均一最大手のダイソーや生活雑貨専門店のロフトとの提携を積極化している。

ネットショッピングの対応店も21年2月末の約350店から22年3月末には1,000店への拡大を目指している。新しいコンビニを目指す試みは始まったばかりだ。

文/編集・dメニューマネー編集部

【関連記事】
「厚生年金」を月25万円もらうための3つの方法
初心者向け!ネット証券オススメランキング(外部サイト)
「電気・ガス・水道代を節約したい」人がやってはいけないこと
株主優待をタダ取りする裏ワザとは?(外部サイト)
ひろゆきが「宝くじを買うこと」を問題視した本当の理由

(2022年2月7日公開記事)