今年4月から「雇用保険料率」が引き上げられます。「雇用保険」とは、失業した場合に必要な給付を受けられる制度のことで、「失業保険」(失業手当)とも呼ばれます。雇用保険料が増えると、手取り額はいくら減るのでしょうか。
雇用保険料の負担はいくら増える?月収別シミュレーション
今回決まった引き上げは、4月と10月に分けて行われますが、実は4月の引き上げでは労働者の手取り額は減りません。
雇用保険料は会社負担分と労働者負担分に分かれており、4月に高くなるのは会社負担分だけだからです。
ただ10月には、労働者負担分も引き上げられ、現行の0.3%から0.5%に上がります。
期間 | 労働者負担分 | 会社負担分 | 合計 |
---|---|---|---|
2022年3月まで | 0.3% | 0.6% | 0.9% |
2022年4月~9月 | 0.3% | 0.65%(+0.05%) | 0.95%(+0.05%) |
2022年10月から | 0.5% | +0.2%) 0.85% | (+0.2%) 1.35%(+0.4%) |
雇用保険料率の引き上げにより、労働者の負担はいくら増えるのでしょうか。
たとえば月収(社会保険料や所得税を差し引く前の額面)が20万円の人は、現時点で毎月の雇用保険料が600円ですが、10月からは1000円になります。
同様に月収30万円の人は900円から1500円に、40万円の人は1200円が2000円になります。6割近くという決して小さくない負担増といえそうです。
引き上げの理由はやはりコロナ禍 負担増だけでなくメリットもある
雇用保険料率引き上げの理由は、コロナ禍により雇用調整助成金の支出が膨らみ、積立金の底が見えて財政が悪化したからです。
引き上げによって負担は増えますが、メリットとなる制度改革もあります。働き方改革により、雇用にとらわれない働き方が広まっていることを踏まえて、いわゆる脱サラをして新たに起業した場合、失業手当の受給期間が最大4年まで延長されます。
手取り額を減らさないために今からできる3つのこと
雇用保険料の算定には、通勤手当、住宅手当、時間外手当などが含まれます。これらの諸手当を減らすことで、雇用保険料の負担を下げられます。
対策1 通勤手当・住宅手当を減らす
会社から近くて家賃も安いところに引っ越すと、通勤手当と住宅手当の両方を減らせます。また、コロナ禍でリモートワークが中心になり、出勤が減った人も多いでしょう。引っ越しはそう簡単にできなくても、通勤手当を減らすだけなら、「1、2駅分歩いて定期代を減らす」「交通費のかからない自転車通勤をする」という手もあります。
対策2 時間外手当を減らす
副業OKという企業も増えているので、残業せずに空いた時間を副業に使えば、時間外手当分の雇用保険料はかからなくなります。副業分の収入には雇用保険料はかかりません。
対策3 教育訓練給付金で元を取る
雇用保険料をせっかく支払うのなら、元を取るという方法もあります。
雇用保険の給付は、失業保険以外にも再就職手当、教育訓練給付金など多くの種類があります。教育訓練給付金は、厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練を受講・修了した場合に、受講費用の一部が支給される制度です。副業にも生かせる資格を、教育訓練給付金制度を利用して取得してみてはいかがでしょうか。
文/編集・dメニューマネー編集部
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(2022年2月8日公開記事)