結婚に対する考え方が変わりつつあり、「事実婚」を選択する夫婦が増えている印象だ。入籍の必要がないことや、夫婦別姓でいられるなどのメリットがクローズアップされているが、「法律婚」と比較した際に、お金の面では困ることはないだろうか。
金銭的メリットは「法律婚」のほうが多い
結論から言えば、「法律婚」と「事実婚」を比べると、金銭的なメリットでは明らかに法律婚に軍配が上がる。
法律婚では、税金の「配偶者控除」や、結婚相手を保険金の受取人にする際の「生命保険料控除」などが受けられるが、事実婚ではこうした控除が適用されない。
企業の「家族手当」も事実婚では受け取れないケースがある。また住宅ローンを組む際には、夫婦の収入を合算する「収入合算」などによりある程度大きな金額を借り入れることができるが、事実婚の場合は合算が認められず、借り入れ可能額の算定に不利に働くこともある。
「事実婚」特有の金銭的なメリットはある?
一方、事実婚特有の金銭的なメリットはあるだろうか。事実婚には基本的に、金銭的なメリットはない。
しかし最近では、事実婚でも住宅ローンの収入合算を認める金融機関が出てきたり、家族手当を支給する企業も増えたりと、徐々に状況は変わりつつある。2022年度から保険適用される不妊治療では、事実婚のカップルも対象となる予定だ。
しかし、配偶者控除や生命保険料控除などが受けられないことに変わりはない。事実婚による金銭的なデメリットは少なくなりつつあるものの、法律婚を上回るメリットはいまのところないのが現状だ。
事実婚が注目されているのは、金銭面以外のメリットから
こうした状況においても事実婚が注目されているのは、お金に関すること以外のメリットからだ。例えば以下のようなメリットがある。
・夫婦別姓でいられる
・名義変更などの手続きが必要ない
・親戚付き合いなどが少なく済むことも
夫婦別姓が続けられれば、パスポートや銀行口座、クレジットカードなどの名義変更をする必要はなく、もちろん職場でも今までの姓を名乗れる。
親戚付き合いを面倒に感じる人は、事実婚にメリットを感じるかもしれない。まだ日本では事実婚に対する偏見が少なくなく、親戚の方から関わりを遠慮される可能性があるからだ。
離婚がしやすいのも事実婚のメリットと言える。戸籍が何も変わっていないため、離婚しても手続きが不要だ。もちろん、離婚届の提出も必要ない。
メリットを比較して自分たちに合った選択肢を
ここでは、法律婚と事実婚の金銭的なメリットについて考察してきた。パートナーと事実婚の選択肢も真剣に考えているなら、金銭面でのメリットとそれ以外のメリットを比べて、より自分たちに合っていると思える選択肢を選ぶのが良さそうだ。
文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・dメニューマネー編集部
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