国民年金や厚生年金の受給額は、納付期間や納付額によって個人個人で異なってくる。一方、日本全体では高齢者は1人平均でいくらぐらい受給しているのだろうか。厚生労働省年金局のデータを参照にすれば傾向が分かる。
国民年金の平均月額で一番のボリュームゾーンは?
厚生労働省年金局は「厚生年金保険・国民年金事業の概況」という資料を毎年発表している。その最新版である令和2年度版(2020年度版)が2021年12月に公表されているので、早速そのデータを参照していこう。
まずは国民年金から。なお、このデータでは月額別の「受給権者数」が提示されている。受給権者とは、年金などの給付を受ける権利を有する者のことで、正確には実際の「受給者数」ではない。しかし、どの受給額のボリュームゾーンとしてどの金額が最も多いか調べるときは、十分に参考になる。
国民年金の月額別受給権者数 | ||
---|---|---|
年金月額 | 人数 | |
〜1万円 | 7万4,554人 | |
1万〜2万円 | 29万3,600人 | |
2万〜3万円 | 92万8,755人 | |
3万〜4万円 | 284万2,021人 | |
4万〜5万円 | 466万3,638人 | |
5万〜6万円 | 776万979人 | |
6万〜7万円 | 1,483万5,773人 | |
7万円〜 | 188万2,274人 |
※「1万〜2万円」は「1万円以上2万円未満」のこと
上記のデータからは、国民年金を月額で6万〜7万円受給している人が最も多いといえそうだ。ちなみに国民年金は保険料を納めた月数によって受給額が変わる。
厚生年金の平均月額で一番のボリュームゾーンは?
続いて厚生年金だ。以下の通り、一番のボリュームゾーンは9万〜10万円になっている。
厚生年金の月額別受給権者数 | ||
---|---|---|
年金月額 | 人数 | |
〜1万円 | 10万511人 | |
1万〜2万円 | 1万8,955人 | |
2万〜3万円 | 6万6,662人 | |
3万〜4万円 | 11万9,711人 | |
4万〜5万円 | 12万5,655人 | |
5万〜6万円 | 17万627人 | |
6万〜7万円 | 40万1,175人 | |
7万〜8万円 | 69万4,015人 | |
8万〜9万円 | 93万4,792人 | |
9万〜10万円 | 112万5,260人 | |
10万〜11万円 | 111万9,158人 | |
11万〜12万円 | 101万8,423人 | |
12万〜13万円 | 92万6,094人 | |
13万〜14万円 | 89万7,027人 | |
14万〜15万円 | 91万3,347人 | |
15万〜16万円 | 94万5,950人 | |
16万〜17万円 | 99万4,107人 | |
17万〜18万円 | 102万4,472人 | |
18万〜19万円 | 99万4,193人 | |
19万〜20万円 | 91万6,505人 | |
20万〜21万円 | 78万1,979人 | |
21万〜22万円 | 60万7,141人 | |
22万〜23万円 | 42万5,171人 | |
23万〜24万円 | 28万9,599人 | |
24万〜25万円 | 19万4,014人 | |
25万〜26万円 | 12万3,614人 | |
26万〜27万円 | 7万6,292人 | |
27万〜28万円 | 4万5,063人 | |
28万〜29万円 | 2万2,949人 | |
29万〜30万円 | 1万951人 | |
30万円〜 | 1万6,721人 |
※「1万〜2万円」は「1万円以上2万円未満」のこと
一方、男女では一番のボリュームゾーンに差があり、男性は17万〜18万円が最多、女性は9万〜10万円が最多となっている。こうした差が出るのは、厚生年金は国民年金とは異なり、納付月数のほか、収入・納付額も受給額に関係してくるからだ。
老後に困らないよう、大体の受給額を把握しておこう
ここでは国民年金と厚生年金について、受給額のボリュームゾーンを調べた。示した表からは、個人によって受給額にかなりの差があることが分かると思う。
老後について「年金を受け取れるから大丈夫」と短絡的に考えていたら、実際に受け取る額が少なくて困ることになるかもしれない。事前に大体の金額で把握しておき、必要ならば早めに資産運用などを始めることも検討したい。
文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・dメニューマネー編集部
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