資産としての「クルマ」自動車投資のススメ 第3回
多くの人はクルマのことを「ぜいたくな消費物」と捉えて、通常の資産運用(投資)とは切り離して考えがちです。しかし、クルマは資産の一部であり、お得に乗るためには、クルマを投資対象とみなす自動車投資(カーインベストメント)の視点が重要です。本連載では、クルマについて通常とは異なる視点から考えていきたいと思います。
カーシェアリングでクルマが配当を生む
「クルマは金食い虫だ」という意見をよく目にします。
たしかにクルマは購入費がかかりますし、走らせるためにはガソリン代がかかります。税金や車検代、駐車場代もかかりますので、金食い虫であることは間違いありません。
しかし、本来はお金を産まないクルマから“配当”(厳密に言えば配当ではありませんが、便宜上このように表記します)を得る方法もあります。それが「カーシェアリング」です。すでに広く浸透しているサービスですので、利用したことがある人もいるかもしれません。
ほとんどの人は「借りる」ほうしか利用したことがないと思いますが、実は、C2C(個人と個人の間で行う取引)型のカーシェアリングサービスに登録することで、比較的簡単に自分のクルマを「貸し出す」ことができます。
これによって、本来はお金を産まないクルマから配当を得ることができるのです。
「インカムゲインを得る」という第三の選択肢が登場
そもそも資産運用の方法には、大きく分けて以下の3つの方法があります。
1 値上がり益であるキャピタルゲインを得る
2 配当や賃料、分配金といったインカムゲインを得る
3 減価償却や損益通算などを活用して出ていくお金(主に税金)を減らす
カーシェアリングが生まれる前は、クルマで資産運用しようとしても、1番と3番しか手段がありませんでした。さらに、株式や投資信託と違って、値上がりが見込めるクルマはごくわずかです。
クルマは耐久財である以上、基本的には経年とともに価値が減価していく資産であり、経年とともに価値が上昇していくのは、一部のスーパーカーやクラシックカーのみです。
そのようなクルマは非常に高額なので、実質的に、ほとんどの人にとって「クルマでの資産運用」とは、値下がりしにくい車種を選んで少しでもキャピタルロスを減らすか、3番の減価償却目的か、どちらかに限られていました。
しかし、カーシェアリングの普及によって、「インカムゲインを得る」という第三の選択肢を検討できるようになったというわけです。
テスラを貸し出して、利回り10%を得ていた投資家も
まだテスラがそこまで普及していなかった数年前は、テスラを貸し出して、利回り10%を得ていた投資家もいたようです。たとえば、1,200万円で購入したテスラのモデルSを貸し出して、月10万円(1年間で120万円=1,200万円の10%)を稼ぐといったイメージです。
あるカーシェアリングサイトをのぞくと、2022年2月現在で、テスラのモデルSは1日1万円〜1万5,000円で貸し出されています。このプラットフォームの規約を確認したところ、仲介手数料は貸出料の25%〜35%でしたので、テスラオーナーの手取りはもう少し低くなります。
つまり、月10万円を稼ぐためには、少なくとも月10日の貸し出しが必要です。
ただ、2022年2月現在は、テスラがそこまで珍しい車種ではなくなったために、以前より貸出料が下がっていることが予想されます。数年前であれば、「テスラを貸し出して利回り10%」は、そこまでおかしい数字ではなかったと言えるでしょう。
愛車を貸し出すことでインカムゲインを得る
カーシェアリングを活用した自動車投資の優れているところは、
・すでに保有している資産(クルマ)を貸し出すため、追加の費用が発生しない
・自分の使っていないときだけ貸し出せば(もしくは貸出中ではないときに自分が使えば)よいため、資産(クルマ)を有効活用できる
ということです。「せっかくクルマを買ったけれど、土日しか乗らないので、平日は全く稼働していない」という人もいるのではないでしょうか。事故を起こされたときが心配、他人が乗ったクルマに乗るのはいやだ、という人もいるかもしれませんが、投資にリスクやデメリットはつきものです。
都市部を中心に、カーシェアリングのニーズは高まっています。あなたも「愛車を貸し出すことでインカムゲインを得る」ことを検討してみてはいかがでしょうか。
文・菅野陽平(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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