親の遺産の金額は、もちろん千差万別だ。しかし、もし平均するならいくらぐらいになるのだろうか。一定の条件のもと、実際に平均額が算出されている実態調査の結果データがあるので、参照してみよう。
家計資産額が平均以上の人の場合、平均3,273万円
参照するのは、三菱UFJフィナンシャル・グループのMUFG資産形成研究所が2020年10月に発表した「退職前後世代が経験した資産承継に関する実態調査」のデータだ。
調査対象は、親から遺産を相続した経験があり、家計資産額が各都道府県の平均以上の50〜60代の男女。親から相続した金額がいくらぐらいだったかを聞いている。その結果が以下の通りだ。親の居住地別に、相続した財産額の平均値と中央値を確認できる。
親から相続した財産額の平均値と中央値 | ||
---|---|---|
親の居住地 | 平均値 | 中央値 |
北海道 | 2,970万円 | 1,350万円 |
東北地方 | 2,312万円 | 1,250万円 |
関東地方 | 4,164万円 | 2,500万円 |
中部地方 | 2,878万円 | 1,550万円 |
近畿地方 | 3,668万円 | 1,850万円 |
中国地方 | 2,645万円 | 1,250万円 |
四国地方 | 3,061万円 | 1,500万円 |
九州地方 | 2,720万円 | 1,200万円 |
ちなみに全国平均は3,273万円で、中央値は1,600万円だった。もしあなたの家計資産額が都道府県の平均以上であれば、この調査結果は親の遺産の予測に役立ちそうだ。
親から相続した「現預金」の使途ランキング
一方、親から相続した遺産を多くの人はどのように扱っているのだろうか。実態調査の結果、遺産における「現預金」の使途は以下のようになった。66.5%の人が、親から相続した現預金をそのまま自身の預貯金に預け入れているという結果だ。
親から相続した現預金(※)の使途ランキング | ||
---|---|---|
使途 |
割合 |
|
預貯金への預け入れ |
66.5% |
|
投資性商品(株式・投資信託など)の購入 |
9.0% |
|
住宅関連費用(購入・リフォーム・投資用不動産購入など) |
4.6% |
|
子ども・孫のために使用(教育費など) |
4.3% |
|
日常の生活費 |
3.7% |
|
住宅ローンや借入金の返済 |
3.5% |
|
保険商品の購入 |
2.2% |
|
旅行・趣味など |
1.5% |
|
その他 |
4.5% |
※「現預金」は、有価証券・不動産を売却して現金化した金額を含む
ちなみに「投資性商品の購入」は9.0%にとどまっているが、相続をした人を「投資経験者」に限定すると、相続した現預金で投資性商品を購入した人は12.4%に増える。「投資経験なし」の人の場合は、4.5%にとどまる結果だ。
遺産についてはなかなか聞きにくいが……
遺産がいくらぐらいになるのかは、なかなか聞きにくいことだ。そのため、今回紹介したデータに関心を持つ人は地味に多いのではないだろうか。
文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・dメニューマネー編集部
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