お金や投資、金融に関する知識を広め、リテラシーを高める“金融教育”の業界団体である「日本金融教育推進協会」が2月16日、設立の記者会見を開いた。
代表理事の横川楓氏はこれまで、FPとして、お金の専門家としてテレビなどのメディアに多数出演、金融リテラシーの向上に務めてきたが、その過程で「個人での活動ではなく、より広い連携の必要性を感じた」ことを設立の背景として説明した。
さらに「このような団体はなかったと思う」と初の団体であることを示唆。企業、自治体、教育機関などと連携して、「すべての人が金融教育を受けられるようにしたい」などと抱負を語った。
教育のガイドライン策定や「金融教育者」の認定制度を導入
同協会は一般社団法人で、2022年1月に設立された。
事業は主に5つに分類されている。「金融教育に関する政策提言と環境整備」「金融教育」「金融リテラシー認証」「金融教育者認定」「金融教育勉強会・各種イベント・会員制度」だ。
このうち「金融リテラシー認証」は、金融教育の普及・リテラシー向上に寄与している団体やサービスに対して認証マークを付与するというもの。また「金融教育者認定」は、金融教育をしている教育関係者や自治体職員などに講座・試験などを提供したうえで「認定」する制度。個人で活動しているFPやIFAなども含めて、「リテラシーの向上に努めている人」を対象とするという。
当面の活動として、金融教育を適切に進めるためのガイドラインを作成するほか、3月21日から27日までのグローバルマネーウィークにあわせてキャンペーンやイベントを計画。認証・認定制度は4月にスタートさせ、「ひとり親家庭」向けの金融教育事業なども行う予定だ。
理事に現役の大学生も参画
記者会見には、横川氏のほかに、副代表理事の岩井純一氏(認定NPO法人フローレンス)、鈴木麻衣氏(津田塾大学学生)が出席、協会設立の狙いや、今後の活動、方針などについて説明した。
鈴木氏は現役の大学3年生。金融教育に関心もち、協会に参画した理由について、学校でお金について学ぶ機会はあったものの役に立つ内容だという実感がなかったことや、貧困や格差が深刻化していると感じていることなどを挙げた。
鈴木氏はまた、今春から高校などで投資教育が強化されるものの、「既に卒業した大学生や若者は教育を受ける機会がない」と指摘。「政治や選挙と同様、『大人のするもの』と言われたり、タブー視されたりする『お金の話』をもっと若者がしていかなければいけない」と訴えた。
横川氏「幼稚園児くらいからお金の教育を」
協会がこのタイミングで設立された背景には、今春から高校の新学習指導要領に投資教育(資産形成)が盛り込まれたり、改正民法の施行で18歳でも成人として、クレジットカードやローンなどさまざまな契約ができるようになったりすることがある。
横川氏は、こうした状況の中で、「金融教育」は2022年の注目キーワードであるものの、定義や範囲があいまいで、ガイドラインも整備されていない状況を変える必要性を指摘した。
さらに、海外では3歳くらいからお金に関する教育を体系化している国もあると紹介。その上で、「お金というものが認識できる幼稚園児くらいの歳になったら、年齢にあわせた教育が受けられるようにすべきと思う」などと述べた。
同協会の会員制度は、一般会員、ベンチャー会員、賛助会員、個人会員、サポーターなどがある。一般会員は入会費がかかり、その他の会員は月会費のみかかるが、「機会平等のため熱意・状況に応じて判断」するといい、無料での参加も可能だという。
協会の理事には、赤星昭江氏(エイブルホールディングス)、齋藤舞氏(MEME)、橋本勇帆氏(ABCash)、松尾真里氏(SHE)、村上綾野氏(NPO法人HUG for ALL)が就任している。
https://www.financial-education.jp/
文/写真・濱田 優(dメニューマネー編集長) 画像・(左から)岩井、横川、鈴木の3氏
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