退職・老後が近い

「45歳、会社都合で退職。フリーになりたい」どう資産運用すればいい?

2022/04/23 17:00

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現役FPが徹底解説 40代・50代向け資産運用講座 第3回 現役ファイナンシャル・プランナー(FP)が「40代〜50代の投資初心者」に向けて、実際の相談事例をもとに資産運用のイロハを解説していきます。本日の相談者はこちらです。 相談者(Aさん)プロフィール 性別:男性 年齢:45歳 年収:500万円 属性:出版社勤務

現役FPが徹底解説 40代・50代向け資産運用講座 第3回

現役ファイナンシャル・プランナー(FP)が「40代〜50代の投資初心者」に向けて、実際の相談事例をもとに資産運用のイロハを解説していきます。本日の相談者はこちらです。

相談者(Aさん)プロフィール

性別:男性
年齢:45歳
年収:500万円
属性:出版社勤務
家族構成:妻(公務員、年収450万円)、子供1人(中学生)

状況

Aさんはこれまで長く出版業界で執筆や編集の仕事をしてきた。業界内にそれなりのコネクションはあると自負している。この度、会社都合で離職することになった。業界内にはフリーランスで活躍している知人も多く、これを機に自分もフリーランス(フリーライターやフリー編集者を想定)として独立できないかと考えている。会社都合退職であるため、退職金は割増され、失業保険給付も優遇されるので、それなりに準備期間は取ることができる。

フリーランスの人数は推計300〜400万人

今回の相談者Aさんは、会社都合退職を機に、フリーランスに転身することを考えています。「フリーランスになる人が増えている」と言われて久しいですが、具体的にどれくらいの人数がいるのでしょうか。

各種調査によって数はまちまちですが、内閣府、中小企業庁、厚生労働省などの集計結果はどれも300〜400万人台です。日本には一定数のフリーランスが活躍していることが分かります。実は筆者もフリーランスです。今回は、私自身の経験も交えて、Aさんにアドバイスしていきたいと思います。

フリーランス転身の目処は「月収の1.5倍を稼げる目処があるか」

まず、「フリーランスになっても大丈夫か」について考えてみましょう。これはフリーランスに転身する人のコネクションやスキルなどによるので、万人に共通する回答はありません。

しかし、個人的には「月収の1.5倍を稼げる目処があるか」がひとつに目安になると考えています。

Aさんの場合は、

・自分のコネクションやスキルなどを洗い出す
・どんな仕事を受注することができるのか想定する
・その仕事の受注単価を想定する
・その仕事の受注量を想定する
・「想定単価×想定受注量」で想定月収を計算する

という作業を入念に行うべきです。その想定月収が「現在の月収」の1.5倍にならなければ、フリーランス転身は再検討したほうが良いかもしれません。

というのも、人は得てして自分のコネクションを過大評価しがちだからです。Aさんいわく「業界内にそれなりのコネクションはある」とのことですが、それが事実だとしても、それは「出版社勤務のAさん」への信用であり、「新米フリーランスになったAさん」への信用と等価ではありません。

想定月収には、たぶんに「希望的観測」が含まれているととらえるべきでしょう。

国民健康保険料と国民年金料が重荷

「1.5倍もいらないのではないか」「前職と同じくらいの月収が確保できれば十分ではないか」「自由な生活ができる分、前職と同じくらいの月収が確保できれば、フリーランスのほうが良いのではないか」と思った人がいるかもしれません。

しかし、フリーランスになると、国民健康保険料や国民年金料が原則として全額自己負担になります。一方、サラリーマンであれば、労災保険料は原則として事業主によってまかなわれており、年金保険料や健康保険料も概ね半分を事業主が負担してくれています。

フリーランスを検討している人のほとんどが、この事実を把握しきれていません。私も経験済みですが、国民健康保険料や国民年金料の全額自己負担は、思った以上に大きな負担になります。

フリーランスであれば、額面収入から必要経費を引いて課税所得を計算できるため、経費をうまく使えば、サラリーマンと同額の月収でも、より手残りを多くできる可能性はあります(念の為ですが違法な経費計上をしてはいけません)。ただ、Aさんが目指す頭脳労働型のフリーランスは、そこまで経費がかからないことが予想されます。

月収は3ヵ月平均で考える

資産管理において、フリーランスの最大の懸念点は、収入が不安定になりがちであることです。私も仕事の成果によっては、月収が前月比で半分になってしまったり、反対に前月比で2倍になったりしています。そこで重要なことは、

・月収の上下に一喜一憂しない(月収が増えたからといって安易に散財しない)
・月収は3ヵ月平均で考える(1月20万円、2月50万円、3月20万円なら30万円)

ということです。特に、毎月決まったお給料が振り込まれてくるサラリーマン生活に慣れている人は、「フリーランスは成果報酬の働き方であること」になるべく早く慣れたほうが良いでしょう。

Aさんにとってポジティブな点は、妻が安定した収入が見込める公務員であることです。Aさんファミリーの貯蓄や固定費にもよりますが、Aさんの収入が軌道に乗るまでの間、最低限の収入を確保することはできるでしょう。

公的補償が手薄 自己努力でカバーを

最後に、首尾よくフリーランス生活が軌道に乗った後のことを考えてみましょう。フリーランスのデメリットのひとつは、公的補償が手薄であることです。

たとえば、公的年金には国民年金、厚生年金、共済年金の3種類がありますが、フリーランスが加入するのは国民年金のみです。自分の意思で国民年金基金やiDeCoに加入するなど、自己努力で老後資金を確保する必要があります。

フリーランスは原則として失業保険の対象ではありませんので、病気やケガで働けなくなったときのための保険への加入も検討したいところです。

文・菅野陽平(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部

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