年金をもらいながら働いて月に28万円以上稼ぐと、年金の支給が一部止められてしまうが、4月からはその額が47万円までに拡大される。つまり年金をもらいながらもっと働いて稼げるようになるわけだが、注意点もある。
どう変わるのか?働いて27万円稼いでいる人のケース
現在、給料27万円、年金額が10万円の人で考えてみよう。
この人は27万円を給料として稼いでおり、年金額が10万円のため、この合算が28万円を超えている。このため、年金は10万円もらえるはずが、受け取れるのは5.5万円。つまり4.5万円も止められていることになり、実際の収入は給与と年金で32.5万円だ。
これがいわゆる「28万円の壁」で、賃金などと年金の両方を合算した額で判断される。この壁が4月以降、「47万円」にまで引き上げられるわけだ。
4月以降の受取額はどうなるのだろうか。この人は、給料と年金を足しても47万円未満なので、年金が10万円全額受け取れる。つまり受取額は37万円になり、3月までより4万5000円も増えるのだ。
これは現役並みに働いて、年金が大幅にカットされていた人のみならず、年金カットを気にして働く時間をおさえていた人にとっても、メリットが大きい。
注意点──28万円・47万円の計算には通勤手当なども含まれる
28万円や47万円は給料と年金を合算した額と書いたが、実際には基本給だけでなく、通勤手当、残業手当、月額換算した賞与など、会社から支給される様々なものも含めて28万円(4月からは47万円)が計算される。この点は見落とされがちなので注意が必要だ。
70歳からの繰り下げ受給を選んでも支給停止の影響は出る
もう一つ注意すべきなのは、年金の繰り下げ受給をする場合だ。繰り下げによる増額の効果が得られるのは、「もらう予定だった部分のみ」だ。
たとえば、年金が月10万円のうち、4.5万円が止められる場合、繰り下げ受給を選んでも、増額計算の対象となるのは、あくまで5.5万円の部分のみということだ。
年金がカットされるなら繰り下げ受給を選択し、あとで増額された年金をもらおうと考えている人は、この点も注意が必要だ。
文/編集・dメニューマネー編集部
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(2022年2月21日公開記事)