何かと忙しい年度替わりの時期、残業が増えると、半年後の手取りが減ることがあります。春の給料は、秋の社会保険料の改定に影響するからです。しかし手取りが減っても一概に損とは言えません。納めた保険料が多いと、将来もらえる給付金が増える場合があります。
4月~6月の給料が多いと9月以降に社会保険料が上がる
毎月の給料から引かれる社会保険料の金額は、4月~6月の給料をもとに計算され、9月以降の給料から1年間天引きされます。
たとえば令和3年度の協会けんぽ加入者(40歳以上・東京都)の場合、4月~6月の給料が平均18万円/月なら、9月以降の健康保険料・厚生年金保険料は月々26,946円です。しかし残業が多くて平均19万円/月だと28,443円になり、1月あたり約1,500円増えます。
このとき、計算で使う4月~6月の給料とは各月に実際に払われた額です。給料が15日〆・25日払の会社なら、4月の給料は4/25支払分、つまり3月16日から4月15日までの給料です。
3月上旬の残業は影響しませんが、3月中旬以降に残業が増えた場合は、9月以降の保険料が高くなり手取りが減るかもしれません。
社会保険料を多く納めれば傷病手当金や年金の額が増える
傷病手当金は病気やケガで会社を休むともらえる手当です。基本的に、休む前1年間に納めた健康保険料が多いほど金額が大きくなります。9月以降に保険料が上がれば、病気などで休んだときの手当が増えるので、万が一への備えとしてはむしろ安心かもしれません。
また厚生年金保険料を多く払えば老後の年金が増えます。つまり、社会保険料が多く引かれてその月の手取りが減っても、一概に損とはいえません。
手取り額は、残業や昇給、税金や社会保険料など多くの要因で変わります。給与明細を見るときは、手取りの増減に一喜一憂するのではなく、金額が変わった理由や制度の仕組みにも目を向けましょう。そうすれば、家計への影響やライフプランを考える際に役立ちます。
文・大垣秀介(マネーライター)
編集・dメニューマネー編集部
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