コロナ禍のストレスなどが原因で「コロナうつ」が増えている。特に重症化リスクが高い高齢者は社会との関わりが減ってしまい、「高齢者うつ(老人性うつ)」も増えているようだ。その症状を見た家族が、認知症と勘違いしてしまうことも多いという。高齢者うつの治療費はいくらかかるのだろうか?
「高齢者うつ」と「認知症」はどこが違う?
高齢者うつと認知症は、発症する原因や症状、進行する速さなどが異なる。
高齢者うつは、引っ越しや定年退職、病気の悪化、配偶者との死別など、何らかのきっかけが原因で発症することが多いとされる。
症状としては、不眠や食欲低下、体調不良、悲観的になることなどが挙げられ、数週間から数ヵ月の比較的短い期間で進行する傾向にある。集中力が低下して物事を覚えられなくなる場合もあるが、本人がそれを自覚して悩むことが多いという。
一方で認知症は、脳に何らかの問題が起こることで発症する。主な症状として、物忘れなどの記憶障害があり、本人が物忘れを否定する傾向にあるという。症状は数年間かけてゆっくり進行していく。
高齢者うつの治療にかかる費用はいくら?保険はきくのか
高齢者うつの治療は基本的に、一般的なうつ病と同じような考え方で進められる。
主な治療法として、抗うつ剤などを服用する「薬物療法」、医療従事者とのカウンセリングをする「精神療法」、医師のアドバイスを受けながら、体を動かす、外出するといったことを実行する「環境調整」が挙げられる。
これらの治療法は、原則健康保険が適用される。
費用項目 | 3割負担 | 2割負担 | 1割負担 |
---|---|---|---|
診察費(1回目) | 2500〜5000円 | 1600〜3300円 | 800〜1600円 |
診察費(2回目以降) | 1500〜2500円 | 1000〜1600円 | 500〜800円 |
薬代(2週間分) | 1000〜2000円 | 600〜1300円 | 300〜600円 |
複数の病院の情報をもとにすると、うつ病全般の診察費は3割負担の場合、初診時は2,500円〜5,000円ほど、2回目以降は1,500〜2,500円ほどが相場だ。薬代は症状によって変わってくるが、3割負担で2週間分の相場は1,000〜2,000円ほどである。
例えば初診時は5,000円、2回目以降は1,500円の診察費、毎回2,000円の薬代がかかり、月に2回通うとすると、1年間にかかる費用は8万7,500円だ。
国の制度を利用すれば、負担がさらに軽くなる場合も?
診療内科や精神科に通院している人を対象とする国の制度「自立支援医療」を利用すると、治療費の負担がさらに軽くなる可能性がある。健康保険がきく治療法にのみ適用され、診察費と薬代が原則1割負担になるほか、月当たりの自己負担額の上限も定められている。
75歳未満で自己負担が2〜3割の場合でも、こうした制度を利用すれば、費用を抑えられるだろう。
文・廣瀬優香(フリーライター)
編集・dメニューマネー編集部
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