退職金にかかる税金の計算方法が1月から変わり、数年で転職すると税引き後の手取りが減る場合があります。ただこれには対策があります。新しくなった、不利な税金の計算方法が適用されないようにできるのです。
勤続5年以下で退職金をもらうと税金が増えることがある
1月からの新制度では、「5年以内」に会社を辞めると、退職金にかかる税金が昨年までと比べて税金が高くなることがあります。
それは「退職金額-退職所得控除額」が300万円を超える場合です。
この退職所得控除額は、勤続5年以下なら「勤続年数×40万円」です。たとえば5年勤めて退職金を1000万円もらう場合、退職所得控除額は200万円(5年×40万円)です。
この場合、1000万円から控除額の200万円を引くと800万円になり、300万円を越えるので“増税”ということになります。
いくら増税されたことになるのでしょうか。所得税は、従来の計算方法では約38万円ですが、今の制度では約89万円です。住民税も40万円から65万円に上がります。
つまり額面が同じ1000万円でも、税金が70万円以上も増えて手取りが減ったことになるのです。
2022年1月以降の退職が新制度の対象
新しい制度は、2022年以降に退職する場合は対象になります。2022年1月以降に勤め始めた会社でもらう退職金だけが対象になるわけではありません。
もし現時点で退職を考えている人で、今の会社に入って5年たっていないなら、退職金が少なくなる可能性があります。まとまった額をもらえる退職金は、生活に与える影響が大きいので、税引き後の額を勘違いしないように気を付けましょう。
勤続5年超であれば税金は増えない
一方、5年以上勤めた場合については変更はなく、税額計算で不利になることはありません。
たとえば6年勤めて退職金1,000万円だと、所得税は約34万円、住民税は38万円です。上で触れた勤続5年の人よりも税負担が軽くなります。それぞれの税負担は約72万円と約154万円。1年長く勤めた人のほうが83万円も安くなります。
退職金1000万円の人の税負担の例 | |||
---|---|---|---|
勤続年数 | 所得税 | 住民税 | 税額合計 |
6年 | 約34万円 | 約38万円 | 約72万円 |
5年 | 約89万円 | 約65万円 | 約154万円 |
退職金から引かれる税金を減らして手取りを増やしたい人は、5年経ってから会社を辞めることを検討すると良いでしょう。
文・大垣秀介(マネーライター)
編集・dメニューマネー編集部
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(2022年3月9日公開記事)