中高年のひきこもりの割合が高くなっており、2010年には40歳以上の割合が10%程度だったが、2021年には30%を超えたという(全国ひきこもり家族会連合会)。40〜64歳のひきこもり状態の人が、約61万人いるとの推計もある(2019年 内閣府)。自立支援施設を利用すると、費用はどのくらいかかるのだろうか?
「ひきこもり自立支援施設」の費用はいくら?
ひきこもりとは、国の定義では、仕事や学校などの社会参加を避けて家にいる状態が半年以上続くこと。なお内閣府は調査で、ほとんど自室や家から出ない「狭義のひきこもり」に加え、趣味の用事の時には外出する人も含めた「広義のひきこもり」も含めている。
NPO法人(特定非営利活動法人)などが運営するひきこもり自立支援施設では、生活リズムの改善や金銭管理などの生活支援、ボランティアや職場実習などの就労支援を通じて自立を目指す。
施設の種類は、自宅から通う「通所型施設」と、寮で生活する「宿泊型施設」の2つに大きく分けられる。
「通所型施設」では、登録料として5,000〜2万円、月額会費として週1回ペースなら5,000〜1万2,000円、週2回以上通うと2万〜2万5,000円かかる。
「宿泊型施設」は、入寮費が15〜35万円、設備費(初回のみ)が20万円ほど、寮費が月額20万円前後かかる施設が多い。この費用をもとにすると、2カ月間入居しただけで100万円近くかかる場合もある。
病院で治療するといくらかかる?
ひきこもりの自立支援のため、カウンセリングをしてくれる心療内科や精神科がある。基本的に健康保険は適用されず、1回50分あたり、4,000〜6,000円程度かかる。
うつ病などの精神疾患が原因でひきこもりになっている場合は、抗うつ剤などを服用する「薬物療法」で治療し、保険が適用される。
複数の病院の診察料をもとにすると、3割負担であれば、初診時は2,500円〜5,000円、2回目以降は1,500〜2,500円が相場だ。薬代は症状によって変わってくるが、2週間分の相場は1,000〜2,000円である。
ひきこもりにつけ込む悪質な支援施設も?
自立支援施設の中には悪質なところもあり、「3ヵ月で300〜500万円などの高額な費用を請求する」「支援制度が整っていない」「本人の同意がないまま入居させる」といったケースが確認されている。
こうした施設を避けるために利用できるのが、厚生労働省が全国の自治体に設置している「ひきこもり地域支援センター」だ。ここでは、社会福祉士や臨床心理士などの資格を持つ支援コーディネーターが、本人や家族からの相談をもとに、病院や自立支援施設、ハローワークなどの連携機関につないでくれる。
利用料金は無料のため、まずはひきこもり地域支援センターに相談するのも、一つの選択肢だろう。
文・廣瀬優香(フリーライター)
編集・dメニューマネー編集部
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(2022年3月16日公開記事)