育休の取得を促進するために、2022年4月から育児・介護休業法が順次改正されます。特に注目すべきなのが、10月に始まる男性版産休制度です。子どもが生まれたとき、女性だけでなく男性も休めます。制度が変われば、男性は育休を取りやすくなるのでしょうか?
産後パパ育休制度の創設──出生後8週間以内に最大4週間休める
新たに始まる産後パパ育休では、休む日の2週間前までに会社に伝えれば原則休めます。これまでの育休では1ヵ月前までです。新制度では、実態にあわせてより柔軟に育休を取れます。2回に分けて取ることもでき、一定の場合には休業期間中の就業も可能です。
休んだときには育児休業給付金をもらえます。金額は給料の3分の2です。育休を取っても、収入が完全に途絶える心配はありません。
育休の現状──取得率は女性81%に対して男性はわずか12%
男性が育休を取りやすいように改正が行われるのは、男性の育休取得率が低いからです。2020年度の男性の育休取得率12%は、2年前の6%と比べれば2倍に増えましたが、女性の81%に比べると少なくなっています。
また2018年度の調査では、育休を取った男性のうち3人に1人は、5日未満しか休んでいません。女性は1年近く育休を取ることが多いのに対して、男性は取得日数が短く、育休をしっかりと取れていないのが現状です。
金融・保険業界は男性育休取得率が高く31%
男性の育休取得率は、業界や勤務先の規模によっても差が見られます。金融・保険業界では31%で、これは平均値12%の倍以上の割合です。また従業員数100~499人の企業では17%と高く、5~29人の企業では10%未満と低くなっています。
ただ、金融・保険業界では短期取得者の割合が高く、育休を取った男性のうち63%が5日未満です。全体平均28%を大幅に上回っています。
短期間しか休めない理由は人それぞれで、やむを得ない場合もありますが、社会保険料を免れるためだけの短期取得が問題になり、10月に制度が変わる予定です。10月からは、育休を一定期間以上取らないと、月収や賞与にかかる社会保険料は免除されません。
このように、育休が制度としてあっても、制度が正しく活用されて育休を十分に取れるかどうかは、企業や働く人の考え方次第で変わります。新しい制度が始まるにあたり、育休を取る意味や働き方について、一人ひとりがしっかりと考えておきたいところです。
文・大垣秀介(マネーライター)
編集・dメニューマネー編集部
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