「日経平均先物」の存在感が増しています。2022年2月1日、大阪取引所で日経平均先物(3月限月)が1兆4735億円取引されていましたが、2月最終日には2兆3124億円にまで取引が膨らんでいます。一体、何があったのでしょうか。そもそもなぜ先物取引のようなマーケットが必要なのでしょうか。
先物市場は「眠らない」
2月に急に先物取引が増えた理由として考えられるのは、ロシアによるウクライナ侵攻、米国金利の上昇など株式相場に大きな影響を与えるイベントが相次いで起こったことです。
日経平均株価は、日本経済新聞社が東証一部上場銘柄から225銘柄を選定し、その株価をもとに算出される指数です。
東証で取引が行われていない夜間には日経平均は算出できないはずですが、日経平均は「先物」という形で、東証が開いていない時間帯でも、大阪取引所や、シカゴやシンガポールの市場で取引が行われています。
先物市場にはこうした「眠らない」というメリットがあります。
たとえばロシアのウクライナ侵攻により、「日本の株価にも大きな影響が出るだろう」と判断した投資家は、東証が開いていない時間でも、先物取引で日経平均を売買できます。
時差により、最も早く取引が始まるのは東京市場です。そして上海、香港が続きます。グローバルに投資する外国人投資家は、「上海や香港の市場で起こるかもしれない」株式相場の下落を、日経平均先物の売りで先回りしてヘッジ(回避)しようとします。
こうしたことができる理由は、日経平均先物の流動性が高いことに加え、24時間世界のどこかの市場で取引できるからです。
江戸時代の米市場が起源
先物取引の起源は、江戸時代に大坂にあった「堂島米市場」です。大阪取引所で先物取引やオプション取引などデリバティブは扱われているのは、この名残です。
江戸時代、堂島で先物取引に参加していた米商人は200年後、300年後に先物取引がこのような形で進化し発展しているとは想像もしなかったでしょう。
文・高村阿木夫(現役銀行員のマネーライター)
編集・dメニューマネー編集部
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(2022年5月23日公開記事)