近年、インターネットやテレビで「過払い金」に関する広告をよく見掛けるようになった。場合によっては、貸金業者に支払った過払い金が戻ってきたり、残りの借金が帳消しになったりするというが、これはどういう仕組みなのだろうか。
CMを流しているのは法律事務所など
「借金がゼロに」「100万円が戻ってくる」「5分で無料診断」——。こうした謳い文句の過払い金の広告やCMを一度は目にしたことがあると思う。こうした広告やCMを流しているのは、法律事務所や司法書士法人だ。
結論から言えば、こうしたCMや広告を見て実際に相談した100人が100人、すべての人の過払い金が戻ってきたり、借金が帳消しになったりするわけではない。しかし、実際にお金が戻ってきた人は存在している。
金利の上限を超えて支払った分が対象
なぜ過払い金が戻ってくるかというと、かつては借金の金利を30%程度に設定している貸金業者が多かったが、利息制限法では個人への貸付の上限金利は20%であるため、法律の上限を超える分を支払っていた人がいるからだ。
この余計に払っていた分を返還請求することで、過払い金が戻ってくるというわけだ。
ただし、あくまで過払い金が戻ってくる仕組みであるため、借金の元本が減るわけではない。それなのに、CMや広告で「借金がゼロに」などと強調しているのはなぜなのか。
それは、残っている借金と過払い金の金額が同額だった場合、実質的に借金が帳消しになったことになるからだ。正確には「(過払い金を元本の返済に充てて)借金がゼロに」ということになる。
返還される確率は「交渉」なら70〜80%
過払い金の返還請求をしている司法書士法人のウェブサイトなどによれば、過払い金が戻ってくる可能性は、貸金業者との「交渉」では70〜80%程度、「裁判」をした場合は90〜100%ほどだという。
ちなみに、裁判をしなければ返金をしてくれない貸金業者もいるほか、過払い金請求をしたくても対象の貸金業者がすでに廃業しているもあり、泣き寝入りするしかないケースもあるようだ。
返還された金額の20〜30%は手数料に?
気になるのが、法律事務所や司法書士事務所に支払う費用だが、これはまちまちだ。
相談料や着手金がかかるケースもあれば、かからないケースもあるが、最も金額が大きくなりやすいのが、返還された過払い金に応じてかかる手数料だ。返還された金額の20〜30%ほどが相場だ。
最近では「過払い金ビジネス」を事業の柱にしている法律事務所や司法書士法人も多いため、見積もりを複数とって比較してから依頼先を決めるのがベターだ。
文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・dメニューマネー編集部
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(2022年3月26日公開記事)