ロシア・ウクライナ情勢の悪化で、エネルギー価格の高騰に歯止めがかからない。物流コストの上昇もあり、日本でも商品の値上げが目立ち始めた。このままでは、100円ショップも価格を維持できなくなり、「100円均一」が「110円均一」になるかもしれない。
ロシアは世界有数のエネルギー産出国
エネルギー価格の高騰が起きているのは、ロシアが世界有数のエネルギー産出国だからだ。各国がロシアに経済制裁を実施していることもあり、石油や天然ガスの不足に対する懸念が世界的に高まっている。需要が変わらない状態で供給が減れば、価格は上がる。
100円ショップではさまざまなプラスチック製品が販売されているが、石油はプラスチック製品の原料となる。また、プラスチック製品を作る工場では電力を使う。石油や天然ガスの価格の高騰は電気料金の値上がりを引き起こすため、製造コストの増加につながる。
そして出来上がった製品を輸送する場合には、ガソリンが必要だ。このように、エネルギー価格の高騰は、100円均一のビジネスに多大な影響を与える。100円ショップでは食品も販売されているが、世界的に小麦の価格なども上がっており、食品の生産コストの増加も必至だ。
エネルギー・原材料 | 2021年12月31日 | 2022年3月23日 | 上昇率 |
---|---|---|---|
原油の取引価格 | 77.78ドル | 121.44ドル | +56.13% |
天然ガスの取引価格 | 3.730ドル | 5.126ドル | +37.42% |
小麦の取引価格 | 770.75ドル | 1107.00ドル | +43.62% |
日本企業も商品の値上げを相次ぎ発表
エネルギー価格の値上がりは、ガソリンスタンドのガソリン価格の値上がりなどから、多くの人がすでに肌で感じているはずだ。そしてさまざまな商品の値上げラッシュも起きつつあり、2022年4月から価格が上がる商品も多い。
例えば、パナソニックやLIXILは照明器具や住宅用建材の一部を値上げする。これらの製品の原材料費が上がっていることのほか、物流費の上昇も理由だ。食品ではカゴメのトマトケチャップなどが3〜9%の値上げとなる。
ダイソーやキャンドゥ、セリアなどの100円均一ショップ大手からはまだ値上げの話は出ていないが、それは「100円均一」という看板を掲げているだけに値上げがしにくいからであって、本音では値上げしたいはずだ。
100円均一も辛抱の限界を迎えると・・・・・・
厳しい状況の100円均一ショップ。辛抱も限界を迎えれば、いよいよ値上げが発表されるかもしれない。もし一律の値上げとなれば、「110円均一ショップ」「120円均一ショップ」と看板を掛け替える必要が出てくる。
エネルギー価格や原材料費の高騰は一時的なものに収まるかもしれないが、こうした状況になる可能性は十分にあると言えそうだ。
文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・dメニューマネー編集部
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(2022年3月27日公開記事)