Appleはアメリカの企業であるにも変わらず、iPhoneのシェアが世界一高い国は日本だと言われている。であれば、iPhoneの原価についての情報も、多くの日本人にとって興味深いはず。例えば、最新機種「iPhone13 Pro」(12万2,800円〜)の原価はいくらだろうか。
「iPhone13 Pro」の推定原価率は56.2%
iPhoneの原価を探る上で参考になるのが、電子機器の分析レポートなどを多数発表しているカナダ企業TechInsightsのデータだ。
同社は「iPhone13 Pro」と「iPhone12 Pro」を分解し、iPhone13 Proの原価は570.00ドル、iPhone12 Proの原価が548.50ドルと、推計値を出している。それぞれ現在の為替レートで日本円に換算すると、6万9,103円、6万6,497円だ。
この金額を日本で販売されている両機種の標準モデルの料金と比較し、推定原価率を計算してみる。iPhone13 Proは標準モデルの料金は12万2,800円、iPhone12 Proの標準モデルの料金は10万6,800円なので、以下の通りとなる。
機種 | 販売価格 | 推定原価 | 推定原価率 |
---|---|---|---|
iPhone13 Pro | 12万2800円 | 6万9103円 | 56.2% |
iPhone12 Pro | 10万6800円 | 6万6497円 | 62.2% |
iPhone13 Proの推定原価率は56.2%、iPhone12 Proの推定原価率は62.2%という結果が出た。
サムスンのギャラクシーと比較すると?
世界で発売されているスマートフォンはiPhoneだけではない。では他の機種の原価率はどのくらいだろうか。TechInsightsは韓国サムスンの「Galaxy S21+ 5G」も分解し、推定原価率を算出している。508.00ドル(約6万1,600円)だという。
日本では「Galaxy S21+ 5G」は13万8,730円で販売されているため、推定原価率は44.4%ということになる。iPhoneよりは原価率は低めのようだ。
原価率から見えてくるAppleのビジネスモデル
ちなみにiPhone13シリーズでも、iPhone13とiPhone13 Proで価格が異なるのは、スペックが異なるからだ。例えば基本スペックはProの方が高く、望遠カメラなどがついているのもProのみだ。
また同じiPhone13 Proでも、容量を増やせば増やすほど販売価格が高くなる。容量が大きいほど記憶媒体の原価も上がるため、当然と言える。
いずれにしても、iPhoneの製造原価は飲食店のメニューの原価(一般的に30%ほど)などと比べると、非常に高くなっている。それでもビジネスが成り立つのは、アプリストアの手数料やクラウドストレージの使用料から多大な利益を得ているからだ。
iPhoneの原価率を調べると、このようにAppleのビジネスモデルが見えてくる。
文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・dメニューマネー編集部
画像・Halfpoint / stock.adobe.com(画像はイメージです)
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(2022年4月1日公開記事)