年金の繰り下げ受給をすると、月々の受給額は増える。増額は生涯続くメリットだ。しかし、繰り下げを決める前に知っておきたい注意点もある。どのようなことに注意すればいいのだろうか?
その1 繰り下げ損の可能性がある
年金の繰り下げをして、実際に受給が始まってから早期に死亡すると65歳から受給したときよりも総受給額が少なくなってしまう可能性がある。
繰り下げ受給の総受給額が65歳で開始したときを上回るのは、実際に受給が始まってから約12年後。例えば、70歳から受給したのであれば、82歳になった時点で上回ることになる。
その2 税金や社会保険料が増える
月々の受給金額が多くなると所得が増えることになるので、所得税や住民税、国民健康保険料や介護保険料なども比例して増える可能性がある。
税金や社会保険料がどれくらい増えるかは、年金額や自治体によって異なる。予想していたよりも手取りが少ないと感じるかもしれない。
その3 加給年金がもらえない
加給年金は、厚生年金保険に加入している人が65歳になった時点で扶養する家族がいる場合に、厚生年金に加算される年金だ。厚生年金を繰り下げていると加給年金はもらえない。
ただ、年金の繰り下げは厚生年金と基礎年金の両方を繰り下げるほかに、どちらか一方のみを繰り下げることも可能だ。
厚生年金は65歳から受け取り、基礎年金だけを繰り下げれば加給年金を受け取りながら月々の受給額が増えることになる。
その4 遺族年金の受給額は増えない
遺族年金とは、国民年金や厚生年金に加入していた人が亡くなり、亡くなった人が生活を維持していたときに遺族が受け取れる年金だ。
例えば、繰り下げ期間中に本人が死亡して遺族年金が支給されることになった場合、その時点で支給額が固定される。
将来の生活を考え、遺族年金を繰り下げて受給額を増やそうと思うかもしれないが、受給額は変わらない点を把握しておきたい。
年金の繰り下げ受給は慎重に検討を
「増額は生涯続く」といった点から、年金の繰り下げ受給を検討する人もいるはず。
ただ、繰り下げ受給のメリットだけをもとに決断するのではなく、注意点も踏まえた上で慎重に決めることが大切だ。
文・廣瀬優香(フリーライター)
編集・dメニューマネー編集部
(2022年6月7日公開記事)
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