学生の時に猶予してもらった「国民年金」の保険料を、社会人になって納めたという人にはどれくらい、いるだろうか?この「学生納付特例制度」はありがたい仕組みだが、追納しなければ将来の受給額が減ってしまう。満額もらえる場合と比べて、どれくらいの差があるのだろうか?
国民年金の「追納制度」は10年以内という期限がある
国民年金を追納して猶予した分を後で支払うと、受給額を満額にできる制度。「学生納付特例制度」だけでなく、「保険料免除制度」や「保険料納付猶予制度」の適用を受けた場合も追納できる。
学生納付特例はあくまで“猶予”であって“免除”ではないので、支払わなかった分、将来もらえる年金は減ってしまう。
追納期間は、追納が承認された月から数えて10年以内と定められている。たとえば大学生の時に猶予を受けたら、30代前半くらいまでということになる。
また、3年度目以降に追納する場合、加算額が上乗せされるので注意が必要だ(納付の免除もしくは猶予を受けた期間の翌年度から数える)。
学生時代の年金を追納していないと受給額はいくら減る?
追納しないとどれくらい受給額が減るのだろうか。それは大学などに入学したときの年齢によって変わる。
例えば浪人せずに大学に入学し留年せずに卒業する場合、国民年金の加入対象となる20歳から卒業時の22歳まで、2年間猶予が受けられる。
この2年間まるまる猶予を受けると、65歳時点の受給額は73万8910円となる。
一方、猶予を受けずに満額支払っていたとすると、受給額は77万7800円。2年間未払いだった場合の満額受給額と比べると約4万円の差が出るのだ。
なお計算は「満額受給額×保険料納付済み月数/480」ででき、この額は2022(令和4)年度の満額受給額をもとに計算している。
減額の影響は、長生きすればするほど大きくなる。例えば65歳から90歳までの老齢基礎年金の合計額を比べると、100万円近くの差が出る。
ただ、学生納付特例制度は月単位で適用されるため、追納していない場合の受給額は誕生月によって異なる点を付け加えておきたい。
追納期限を過ぎてしまったら受給額は増やせない?
もし10年以内に追納しなかったら受給額は少ないままなのだろうか。この場合も、60歳以降に国民年金に任意加入することで受給額を増やせる。
その際は、いくつかの条件を満たし、自治体の年金窓口や年金事務所で申請する必要がある。条件とは、「日本に住む60歳から65歳」「老齢基礎年金の繰り上げ受給をしていない」などだ。
追納制度や任意加入制度を利用して将来の受給額を増やしたい場合は、まずはねんきん定期便やねんきんネットで未払い状況を確認してみてはいかがだろうか。
文・廣瀬優香(フリーライター)
編集・dメニューマネー編集部
(2022年6月14日公開記事)
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