2022年4月から、75歳まで年金の「繰り下げ受給」ができるようになり、最大84%年金が割増されます。割増は一生続くものの、年金を繰り下げ受給するなら注意点があります。デメリットとともに確かめておきましょう。
2022年4月から75歳まで繰り下げで年金84%増
公的年金は65歳から受け取れますが、「繰り下げ受給」を選び、受け取る時期を遅らせてもらえる年金を増やせます。これまで繰り下げ受給ができる年齢は70歳まででしたが、2022年4月から75歳までに延長されました。75歳まで繰り下げると、最大84%年金が割増されます。
時期を遅らせるだけで、生涯にわたって割増された年金を受け取り続けられます。
年齢別の増額率は次の通りです。
請求時の年齢 | 増額率(%) |
---|---|
66歳 | 8.4 |
67歳 | 16.8 |
68歳 | 25.2 |
69歳 | 33.6 |
70歳 | 42.0 |
71歳 | 50.4 |
72歳 | 58.8 |
73歳 | 67.2 |
74歳 | 75.6 |
75歳 | 84.0 |
繰り下げ受給で注意が必要な2つの視点
ただし、繰り下げ受給には注意すべき視点が2つあります。
1 受給期間が短くなる
繰り下げ受給では、年金額が増えても受給期間は短くなります。当然ですが死亡すれば、その時点で年金はストップします。
2021年に発表された日本人の平均寿命は女性が87.74歳、男性が81.64歳です。自分自身の健康状態も踏まえつつ、繰り下げるべきか判断しましょう。
2 税金や社会保険料の負担が増える
年金からは税金や社会保険料が天引きされるので、受け取る金額が増えるほど税金は増えます。国民健康保険料も所得に応じて上がります。
75歳まで繰り下げて年金が84%増えても、手取りも同じだけ増えるわけではありません。実際どのくらいのメリットがあるのか、税金や社会保険料を含めて試算しましょう。
夫婦で「妻だけ繰り下げ」という選択肢も
繰り下げ受給の活用方法を工夫するのも一つの方法です。
たとえば、妻の年金を繰り下げ、夫の年金は65歳から受け取るといった選択肢もあります。お互いの年金額や健康状態、家計の状況なども考慮しながら年金の受け取り方を検討しましょう。
文・木崎 涼(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
(2022年6月20日公開記事)
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