かつては「円安になると日経平均は上昇する」と言われましたが、今年、急速に円安が進んでいるのに今の日本の株式市場は大きく下落し、日経平均も上がっていません。
そもそも円安で日経平均が上がる理由は、日本の代表的な企業にはトヨタ自動車 <7203> やソニー <6758> など輸出中心で、円安で利益を増えるところが多いからです。
しかし、いま進んでいる円安の中で日本株が高くなっていません。これはなぜなのでしょうか。
それを説明するヒントが「ドル建て日経平均株価」です。
「ドル建て日経平均」というもう一つの重要指標
「日経平均株価」の下落率は年初から5月末までに約6.9%でしたが、「ドル建て日経平均株価」は約15.3%も下落しています。
この「ドル建て日経平均株価」は、日経平均株価をドル/円レートで割った数値です。
日本人投資家が「日経平均」を参考にするように、外国人投資家はこの「ドル立て日経平均」を参考にして投資します。
日本人投資家が海外の資産に投資する時、円を外国為替に替えるのと同じように、外国人投資家は日本の市場で株を売買する時、米ドルを日本円に交換します。為替リスクを負って投資するわけです。
上の計算式からも分かるように、円安が進むとドル建て日経平均は下落します。実際、日経平均株価の下落率よりも、ドル建て日経平均のほうが大きく下がっています。こうしたことから、外国人投資家のほうが大きな損失をこうむっていると考えられます。
世界有数のマーケットである東京市場には、世界中の投資家が参加しています。東京証券取引所の売買高の6割から7割程度は外国人投資家による取引です。つまり東京市場は外国人投資家の影響を大きく受けるのです。
「日本人には関係ない」わけではない
為替の影響を直接受けるのは外国人投資家ですが、東京市場の最大のプレーヤーは外国人投資家ですから、日本人投資家にとってもドル建て日経平均株価を無視できません。
外国人投資家の動向で日本の市場が大きく動くからです。大きな損失を被った外国人投資家が損失覚悟で日本株を売却することもあります。
日経平均株価だけではなく、ドル建て日経平均株価にも着目すれば新たな投資の機会が生まれるかもしれません。
同じ日経平均株価でも、日本人が見ている数値と外国人が見ている数値は異なることを意識しておく必要があります。
文・高村阿木夫(現役銀行員のマネーライター)
編集・dメニューマネー編集部
(2022年6月21日公開記事)
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