「老後資金が0円の人が30〜40代で3割以上」「NISAやつみたてNISAは半数が知っているがやらない」──。
フィデリティがコロナ禍を経て投資行動がどう変わったかを調べた1万人アンケートで、こんな実態が明らかになった。
調査はその名の通り1万人を対象にしたもので、会社員、会社役員、公務員に、2022年6月にネットでアンケートを実施。2010年から断続的に行っており、今年は9回目だという。
年収500〜1000万未満の人が4割
2022年の調査は男性65%、女性35%。年代別では20代から50代までが20%弱から30%弱で、60代は7.5%とわずか。
年収別では、500万円未満が約30%、500〜1000万円未満が約40%、1000〜2000万未満が約13%、2000万円以上が1.4%などだった(不明・答えたくないが10%弱)。
「老後資金が2000万円以上ある」人は何%いる?
「老後も働く」が3人に1人
「老後の財源」として考えているものについて最大5つまで挙げてもらったところ、トップは「公的年金」で、続いて「預貯金」「労働収入」「企業年金」「NISAやDCなどの税優遇制度」と続いた。「労働収入」を挙げた人は男女とも3割ほどだったといい、3人に1人は老後も働き続ける意思があることが分かった。
60代で「2000万円以上ある」は約3割
老後資金がいま準備できているかどうかについても聞いており、0円(まったく準備できていない)という人が、20代では49%、30代、40代はいずれも30%強いた。
30代と40代の「老後資金の準備状況」を見ると次のようになっている。
準備額 | 30代 | 40代 |
---|---|---|
0円 | 37% | 31% |
100万円未満 | 16% | 15% |
100〜500万円未満 | 22% | 20% |
500〜1000万円未満 | 12% | 13% |
1000〜2000万未満 | 8% | 10% |
2000万円以上 | 5% | 6% |
なお50代、60代で「2000万円以上ある」と答えた人の割合は、50代で18%、29%だった。
NISAやイデコなど「何もやっていない」が半数
NISAやつみたてNISA、iDeCo(イデコ)は初心者が気軽に投資を始める上でまず選択肢に入る商品といえるが、これについても聞いている。
認知度について聞くと、NISAやつみたてNISA、イデコはいずれも半数以上の人が知っていたが、実際に利用している制度を聞いたところ、いずれも20%弱の人しか始めていないという。
なお、NISA、つみたてNISA、イデコ、確定拠出年金(企業型)、確定給付企業年金、中小企業退職金共済、財形年金の「いずれもやっていない」という人が男女とも約50%を占めたという。
NISAと比べて利用率が高かったつみたてNISAについては、利用している人に聞いた改善要望で多かったのは、限度額の拡大と恒久化、NISAとの併用を可能にすることなどだった。
NISA・つみたてNISA加入率が最も高い都道府県は?
なお都道府県別にみた、NISA(つみたてNISA)の加入率は、1位が東京都で41.2%。愛媛県、奈良県と続いた。10位の高知県が36.7%、平均は32%だった。
なおイデコと企業型DCの加入率で最も高かったのは長野県で37.6%。神奈川県、三重県と続き、東京都は35.1%で6位。10位は千葉県で34.0%。平均は27.8%だった。
高所得者は「投資する上でESGを意識していない」人の割合が高い
ESGについては、「理解しているし投資する上でも意識している」と答えた人は15%、「理解しているが投資の上では意識していない」が31%だった。
年代別の結果が興味深く、年収500万円未満の人は、それぞれ10%、25%。500万円から1000万円未満の人は15%、32%。年収1000万円以上の人は25%、40%だった。
年収が上がるほど、ESGについて「理解しているし投資する上でも意識している」人が増える反面、「理解しているが投資の上では意識していない」人の割合も高くなっている。
調査ではこのほか、いま何に投資しているか、なぜ投資しないのか、何歳まで働きたいと思うかなど幅広く聞いている。
調査結果について、フィデリティ・インスティテュートの浦田春河首席研究員は、「投資環境の変化や情報収集手段の多様化により、着実に投資家層が増加している」とした上で、「一方で、NISAなど制度面や金融教育の課題、老後資金の準備が依然不十分である実態など、お金の要素が影響して日本人のウェルビーイング向上が抑えられている」とコメントしている。
文/編集・dメニューマネー編集部
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【訂正のお知らせ】調査の開始年と回数をそれぞれ2013年、8回目としていましたが、正しくは2010年からで、今回9回目です。