スープラ、GT-R、NSXなどの日本のバブル期前後に発売されたスポーツカーの価格が、アメリカで高騰しています。中には、発売当初の4倍の価格で取引きされているものもあります。

スープラ・スーパーターボが1年強で3倍以上に高騰

アメリカで特に価格が高騰している日本車は、1989年型日産スカイラインGT-Rや1993年にトヨタが発売した4代目スープラ、1990年にホンダが発売した初代NSXなどです。

2022年7月にはスープラ・スーパーターボが23万ドル（約3,289万円、1ドル143円換算。以下同）と発売当初の希望小売価格の4倍以上、前回のオークション（2021年5月）から3倍以上で落札されました。

Sold: 1997 Toyota Supra Turbo for $230,000. https://t.co/Z6YZ5T7xET pic.twitter.com/fRnPC07v5d

— Bring a Trailer (@Bringatrailer) July 25, 2022

着脱式ルーフ装備の15周年限定仕様車、4代目スープラ自体がコレクター間で非常に人気が高い車種であることを考慮しても、異様な高騰ぶりです。

1989年型スカイラインGT-R は、過去4年間で2倍以上の4万8,478ドル（約693万円）に上昇。NSXの相場は数年前は4万ドル（約572万円）でしたが、状態の良いものは現在10万ドル（約1430万円）前後で取引されています。これは新車価格の1.6倍に値します。

その他、最近では1994年型日産300ZXツインターボZ31とZ32が、それぞれ5万ドル（約715万円）、13万5,000ドル（約1930万円）で落札されました。過去4年間でそれぞれ2.8倍、2.9倍の上昇です。

3つの理由　一つ目は日本「黄金期」のスポーツカーで高品質であること

現在、世界的に中古車の価格が高騰しています。新型コロナウイルスの影響や半導体不足によって、新車生産台数が減っているからです。

とはいえ、なぜ数十年前の車が、新車の高級車と同等の水準に値上がりしているかというと、3つの理由が挙げられます。

一つ目の理由は、いずれも「日本のスポーツカー黄金期」に発売されており、品質が高いとうことです。

1980～90年代初頭のバブル経済期を背景に、F1のレーシングカーに劣らぬエンジンを搭載するなど、日本の大手自動車メーカーは競うように高性能なスポーツカーを発表しました。

たとえば、1989年型日産スカイラインGT-Rは初代GT-R（1969～72年）と同様に、ツーリングカー（市販乗用車）のレース用に開発されたものです。独自に開発した世界初の量産車用四輪操舵用「HICAS」（ハイキャス、電子制御四輪操舵）を搭載しています。

当時製造された日本製スーパーカーは、ハイテク大国日本製として世界中から注目されるほどだったのです。

理由2　「25年ルール」で当時の日本車の輸入が解禁になった

アメリカでは、日本車を含む右ハンドル車の輸入が禁止されていますが、初年度登録から25年以上経つと輸入できる仕組み（25年ルール）があり、2014年以降、1989年型スカイライン GT-Rなどが合法的に輸入できるようになりました。

1980年代、90年代に日本のスポーツカーに憧れた世代が「解禁」を機に、ここぞとばかりに憧れの車を追い求めているのも不思議ではありません。

理由3　ハイブリッドやEVへの移行でかえって希少性が高まると考えられている

世界中でハイブリッドカーやEVへの移行が進んでいるため、迫力のあるエンジン音と加速力を持つスポーツカーが消えてしまうのではないかという不安が広がっていることも理由です。

また、日本の自動車メーカーのスポーツカーのラインアップが減っていることも、クラシックなスポーツカーの希少価値を高めています。

今後も日本のクラシックスポーツカーの需要が拡大し続けるかどうかについては、専門家の意見が分かれるところです。しかし、現行車にはない個性と性能を備えたスポーツカーの魅力は、まだまだ色褪せそうにありません。

文・アレン琴子（英国在住のフリーライター）
編集・濱田 優（dメニューマネー編集長）
画像・「1990年製スープラ ターボ」Belogorodov / stock.adobe.com（画像はイメージです）

【関連記事】
・老後破産するアブナイお金の使い方
・初心者向け！ネット証券オススメランキング（外部）
・10月から年金が減る？振り込み額が少なくなる2つのパターン
・積立NISAを始めるタイミングは2022年がベスト？（外部）
・金運アップにつながる朝の習慣4選