気象庁の予測では、今年は寒い冬になりそうだ。冬が寒いとユニクロを運営しているファーストリテイリングの株価が上がる傾向がある。どのようなロジックなのか紹介する。
冬が寒いとユニクロが儲かる
ファーストリテイリング <9983> (ファストリ)の株は冬が寒いと買われやすい。
今から約10年前の2012年12月10日の日本経済新聞に「ファストリ、気温低下で株価ヒートアップ」という記事が掲載された。11月が冷え込み、ライトダウンやヒートテックなど冬物衣料が売れ、株価が年初来高値に上昇しているという内容だ。
実際、当時のユニクロの月次既存店売上を見ると、10月の2.2%減から、11月に13.7%増と売上が急増している。
2012年12月に21,970円の当時の過去最高値をつけた。2012年年間上昇率は5割を超えた。結局、2012年の冬(2012年12月〜2013年2月)は、2013年1月に関東地方に7年ぶりの大雪が降るなど例年より寒かった。
翌2013年の冬(2013年12月〜2014年2月)も寒かった。
2014年2月には東京や横浜で最大積雪27〜28センチが2度もあった。過去10年では2012年と2013年が例年比で最も寒かった。
2013月12月、株価は当時の過去最高値45,350円を付けた。年間の上昇率は約2倍に達した。寒い冬が株価を押し上げた可能性は高い。
なぜ寒いとファストリが上がるのか?
ユニクロは月次の売上動向を毎翌月初に発表する。株価は月次動向を反映しやすい。特に、収益への貢献度が高い秋冬の月次動向が重要となる。
アパレル企業は年間収益に占める秋冬のウェートが高い。夏のTシャツやパンツに比べ、冬のダウンやコートなど冬物衣料は単価が高く、採算性がいいからだ。
コロナの影響がなかった2019年8月期でファストリの売上を比較すると、一番少ない夏の6〜8月期に比べて秋冬の9〜11月の売上は1.4倍、営業利益は10.5倍、営業利益率は2.1%から16.2%に上昇する。一年の利益の41%を秋冬だけで稼いだ。
冬が寒いと月次売上動向が上振れる。月次が好調だと業績も上方修正する可能性が高くなる。そうして株が人気化するというロジックだ。
2022年は寒そう 値上げ効果も期待
気象庁は9月20日、2022年の冬(2022年12月〜2023年2月)は例年より寒いと予測した。一方、ユニクロは、製造コストの上昇からフリースやライトダウンなど冬物衣料の値上げを打ち出した。寒い冬と値上げ効果でユニクロの月次動向に注目が集まる。
今年の冬は、ラニーニャ現象などの影響があり冬型の気圧配置が強まる。西日本、東日本を中心に寒さが厳しく、日本海側では雪が多くなる見込みだ。
ユニクロは9月5日、主要新聞や自社サイトに「ユニクロのフリースが2,990円になる理由」という広告を出した。発売以来1,990円だったフリースを2,990円に値上げせざるを得ない状況を伝えた。ライトダウンも5,990円から6,990円に値上げする。フリースは再生ポリエステルの量を増やして環境意識を高め、ダウンは素材や機能性を改善しての値上げだ。主力の通常のヒートテックの990円、ジーンズの3,900円など8割方の商品の値段は据え置いた。
世間は値上げラッシュである。ユニクロは一部値上げを行いながらも、冬場主力のヒートテックは据え置いた。この戦略が業績にどう反映されるのか、冬の寒さとともにユニクロの月次動向に注目したい。
文/編集・dメニューマネー編集部
画像・Heorshe / stock.adobe.com(画像はイメージです)
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