景気後退でも「花王、NTT、味の素」が強い理由 不景気に強い「ディフェンシブ株」

2022/10/03 07:00

株式の下落局面で力強い動きをする「ディフェンシブ株」に世界的な注目が集まっている。NYダウは30,000ドルの節目を割り込み、2020年11月以来1年10ヵ月ぶりの安値だ。日経平均も3ヵ月ぶりに2万7,000円を割り込んだ。インフレによる世界景気後退を懸念し、世界株安が進んでいる。 株式市場は「リセッション」で売られる

株式の下落局面で力強い動きをする「ディフェンシブ株」に世界的な注目が集まっている。NYダウは30,000ドルの節目を割り込み、2020年11月以来1年10ヵ月ぶりの安値だ。日経平均も3ヵ月ぶりに2万7,000円を割り込んだ。インフレによる世界景気後退を懸念し、世界株安が進んでいる。

株式市場は「リセッション」で売られる

株は基本的に景気が後退する局面では売られる。景気後退で企業業績が悪化するからだ。NYダウは2022年1月にコロナ後の高値をつけ、2割ほど下げた調整局面にある。

景気急回復したことで半導体などが品不足がとなり、物流チェーンが混乱した。ロシアのウクライナ侵攻で資源や農作物が高騰し、インフレ傾向が強まった。世界各国はインフレを冷やすために、政策金利を上げ、金融引き締めを始めた。

世界景気がリセッションに入る可能性が高まり株価が下げている。

景気後退期に堅調な動きをするディフェンシブ株

2020年3月以降のコロナ後の株価上昇局面で、世界的にウィズコロナの成長株や景気敏感株が主導した。景気後退懸念が広まったことで、ハイテク株、半導体株などには下落している銘柄が目立ち、ディフェンシブ株のパフォーマンスが相対的に堅調だ。

景気後退局面では、業績が景気同郷の影響を受けやすい景気敏感株は敬遠される。鉄鋼、化学、紙パ等の素材産業や運輸、機械セクターなどが景気敏感株の代表だ。

一方、注目されるのがディフェンシブ株だ。「デフェンス」は「守る」という意味。景気後退期の株価下落局面にポートフォリオを守るための銘柄だ。

ディフェンシブ株の業績は景気後退期でも安定している。

たとえば、医薬品、石鹸・シャンプーといったトイレタリー製品などの生活必需品の消費はどんなに景気が悪くてもそれほど落ちないからだ。生活必需品、食品、飲料、薬品、公共事業である電力・ガス、通信、鉄道などがディフェンシブ株の代表だ。

景気後退期に注目のディフェンシブ銘柄、手を出さないほうが良いセクターは?

日本を代表するディフェンシブの動きを追おう。

生活必需品では花王 <4452> が筆頭だ。得意とするトイレタリー製品の需要は景気後退でもそれほど落ちず安定している。コロナ禍で2期連続の減益にはなったが33期連続増配を続けている。株価は、2020年は年間12%安、21年は25%安と下げ続けたが2022年3月を底に反転、22年8月19日に年初来高値をつけている。

食品で堅調なのは味の素 <2802> だ。コロナ禍でも過去最高益を更新している。調味料や冷凍食品だけでなく、医薬品、半導体材料セクターも好調だ。9月13日には1987年3月以来、35年ぶりの高値をつけた。

通信のNTT <9432> にも注目が集まりそうだ。通信インフラは景気後退でもそれほど低迷しない。2022年3月期に過去最高収益を更新したが、今2023年3月期も過去最高収益を更新する見込みだ。

株価は2021年にも年間19%高と上昇したが2022年も続伸している。5月には2000年以来、22年ぶりの高値をつけ、高値圏で推移している。

薬品では、第一三共 <4568> が強い。抗がん剤新薬が注目されておりコロナワクチン治験を開始したこともあって、9月9日に過去最高値をつけた。

通常、ディフェンシブ株としては、電力・ガスなどの公益事業株も上げられる。

しかし今回は、原油高、LNGガス高などの原燃料高で収益が振れるためディフェンシブ株としての注目度は低い。難しい相場環境ではあるがディフェンシブ株を活用してこの局面を打開しよう。

文/編集・dメニューマネー編集部
画像・chachamal / stock.adobe.com(画像はイメージです)

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