かっぱ寿司の社長がライバル会社の営業データを不正に入手したとして9月30日に逮捕された。運営会社のカッパ・クリエイトの株価は当日から翌日にかけて一時11％下落した後、3日で10％戻した。

外食株の「不祥事」は買い場なのか？過去のケースを振り返ってみよう。

かっぱ寿司は2日間の下げをほぼ3日で戻す

かっぱ寿司の株価の戻りは早かった。9月30日の朝に社長逮捕が報じられ、カッパ・クリエイト <7421> も法人として書類送検された。株価は30日と翌営業日の10月3日に掛けて、一時11％安まで売られた。

2020年4月以来、2年6ヵ月ぶりの安値を付けたが、その後に株価は急反発、3連騰で10月6日には安値から10％戻した。

今回の不祥事は顧客には特に迷惑はかからない。「不祥事は買い」のチャンスだったのかもしれない。

スシローの「顧客離れ」は未だ止まらず

同じ寿司チェーンのスシローの場合、最初の不祥事の発覚から1年経っているが株価はいまだに低迷している。

ウニやカニのキャンペーン（21年9〜11月）で仕入れができず、ほとんどの店で販売されなかった問題が発生。消費者庁は2022年6月、「おとり広告」として景品表示法に基づく措置命令を出した。7月には「生ビール半額イベント」で品切れ店舗が続出、8月にはメバチマグロの代わりに安いキハダマグロを使用したことが発覚するなど不祥事が相次いだ。

スシローの2022年8月の既存店売上は6.3％減、9月は8.1％減。ライバルのくら寿司 <2695> が8月6.8％増、9月18.3％増と好調なのに対して、顧客離れが続いている。

スシローを運営するFOOD ＆ LIFE COMPANIES <3563> の株価は、顧客離れに加え、海産物高と円安による原料高の影響で業績の下方修正をしたこともあって、2021年9月高値から2022年9月安値まで1年で62％も下げた。顧客が戻り、業績回復のメドが立つまでは株価は厳しい局面が続きそうだ。

マクドナルドは不祥事から業績回復に3年、株価回復に1年5ヵ月

日本マクドナルド <2702>のケースではイメージが大きく悪化し、顧客離れが顕著だった。2014年7月、仕入れ先の中国企業が期限切れ鶏肉を使っていたこと。2015年1月にもチキンナゲットに異物が混入していたことが発覚した。

既存店売上は鶏肉問題が発覚した後の2014年8月に25.1％減と大幅マイナスを記録した。2014年12月期には上場来初の赤字転落、2015年12月期も2期連続で赤字となった。業績が黒字に戻るのに3期かかった。

株価は、2015年6月高値から2015年1月安値まで25％下落した。不祥事前の高値を更新するのは1年5ヵ月かかった。

ワタミはブラック企業認定で株価底打ちまで4年

ワタミ <7522> はかつてブラック企業として見られた黒歴史がある。顧客離れが進み、人気居酒屋チェーンが赤字に転落して、株価も長期低迷した。

2008年に入社3ヵ月の社員が自殺、2012年2月には「長時間労働による精神障害が原因」として労災認定された。2015年3月期、2016年3月期と営業赤字に転落する。株価は2011年高値から2015年安値まで61％下落し、底打ちまでに4年も低迷した。いまだに2008年高値は抜けていない。

吉野家は対応の早さで回復

吉野家の常務が2022年4月16日に社会人向けの講座で、若い女性に牛丼好きになってもらうマーケティングを「生娘をシャブ漬け戦略」と話し、SNSで炎上した。吉野家はすぐに謝罪を発表し、19日には常務を解任する対応で株価は急回復した。

株価は当初6日間で8％下落したが、5月13日には1ヵ月弱で不祥事前の株価を回復した。直近四半期の2022年3〜5月期の売上は10.5％増と伸びていることから大きな顧客離れも起きなかったようだ。

「不祥事は買い」のケース

いくつかの不祥事のケースを振り返ると、不祥事に対する会社の対応が悪かった場合、不祥事が業績悪化に直結する場合の株価の戻りは鈍い。不祥事が単発で終わる場合には戻りが早いようだ。

文/編集・dメニューマネー編集部

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