転職回数が多い場合に手続きを忘れがちなのが、企業型確定拠出年金(企業型DC)です。企業型DCは厚生年金と異なり、自分で申告した上で移換手続きをしなければなりません。この手続きを忘れると、将来困ることになります。
移換手続きを忘れる人は年々増加しており、2021年3月末では約100万人が転職後または退職後に企業型DCを6ヵ月以上放置し、自動移換されています(出典:確定拠出年金制度の概況、国民年金基金連合会が公表した2021年3月末時点のデータ)。
「置き去り年金」とも呼ばれる、自動移換された年金。手続きを忘れると、以下のような理由で困ることになります。
困る理由1──手続きをしないと年金がどんどん減っていく
そのまま放置していると、年金がどんどん減っていきます。自動移換されるときに手数料が4,348円発生し、手続きをするまで毎月52円の手数料が徴収され続けます。
困る理由2──資産がまったく運用されない
自動移換された年金は自動的に現金化され、資産運用がまったく行われないので、手数料を取られるだけです。確定拠出年金なら運用益は非課税になりますが、自動移換された年金は非課税メリットを活かせません。
困る理由3──60歳で受け取れない可能性がある
企業型DCを含む確定拠出年金は、最低でも10年の加入期間がないと受給できません。きちんと手続きをしている限り問題にはなりませんが、年金が自動移換された後は加入期間に含まれません。
例えば企業型DCに5年間加入し、転職後に自動移換されて60歳まで放置した場合、受給可能年齢は63歳になってしまいます。
転職時は6ヵ月以内に年金の移換手続きをしよう
在籍していた会社に企業型DCがあった場合は、転職後6ヵ月以内に企業型DCの移換手続きをしましょう。転職先に企業型DCがある場合は、手数料無料で移換できます。
転職先に企業型DCがない場合は、iDeCo(個人型確定拠出年金)への加入手続きが必要です。加入時に2,829円の手数料がかかりますが、自動移換されてから加入すると合計8,277円の手数料がかかります。自動移換される前に手続きをするほうが5,000円以上お得なので、早めの手続きを心がけましょう。
文/編集・dメニューマネー編集部
(2022年10月15日公開記事)
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